第470話 信仰の軌跡
「せんぱーい、ちょっとこれ見てくださいよー」
そう言って彼女に見せられたものは、地下闘技場とでもいうべき大きなコロシアムの中央で一人立つ、魔王こと彼の姿だった。
「もう、本当にいよいよ近いですよ? 最終戦争ラグナロクが勃発するのも。今まで何度か小規模の小競り合いはありましたけど、今回ばかりは彼の気合が違います。だってこれとか見てくださいよ、魔王ってことをバラしてない、クランメンバーまでいるんですよ? これはヤバいですね」
分かりやすく語彙力が低下している彼女を尻目、モニターを覗いてみると、確かに圧巻だった。
人間と魔物が混在し、その中央に立つ魔王、あまりにも恐ろしい光景だ。こういうのって普通、魔物だけだよな? ちゃんと人間にも味方がいるのが狡いし、流石だ。
それに、その人間サイドも存在自体がクラン抗争で有名になっている、フンコロガシ——名前の由来はい未だに不明——と、その存在が全く明かされていない、魔王教——こちらも仮称——の二パターン用意されてある。
あまりにも盤石すぎやしないだろうか。魔王、ナーフも視野か?
「……冗談はさておき、これに対する人間側どうなっているんだ? そもそも彼はNPCとかも攻撃対象に入れているのだろうか?」
「冗談ってなんですか? 別に私冗談言ったつもりはないんですけど」
あ、これは口が滑ったという奴だな。しかも、本当にこちら側の話だし。
「あぁ、気にしないでくれ、独り言のようなものだ」
「ようなものってことは、独り言ではないってことですよね?? まあ、いいや。それよりも人間側ですかー。確かに彼がNPCを狙うか狙わないかだだいぶ変わってきそうですが、今までの傾向からするとNPCは狙わないんじゃないですかね? 命を軽んずるタイプでもないみたいですし」
「確かにそうだなー。ってことは、逆に人類側がそれに気づいて、NPCらをガンガン巻き込んできたらどうなるか分からないな」
「えー、それはないでしょ。いくらNPCの命を大事にするからって、自分たちが負けるような状況になると思いますか? しかも、ちゃんとそこら辺の線引きはしてそうじゃないですか? 味方のNPCは最優先で、次点で味方、そして敵でしょう? やっぱり厳しいんじゃないですか?」
「まあ、そうかー。でもなんでまたこんな急に人類への侵攻を企てたんだろうな。今じゃないといけない理由でもあったのか?」
「あ、いや多分そんなの無いと思いますよ?」
「へ?」
「ほら、彼って今神様になろうとしてるじゃ無いですか? そしてその条件に奇跡を起こす、ってのがあるんですよ。これって本当に奇跡を起こさないといけないんじゃなくて、奇跡を感じさせることがミソなんですよね」
「ん、それがこの侵攻と何の関係があるんだ?」
「だから、その奇跡感を演出するために、わざわざ人類という敵を設定して、それを倒すというストーリーを描くことで、人々を興奮させ奇跡を感じさせているんですよ」
「つ、つまり、あくまで人類侵攻、世界征服はついでってことか?」
「多分そうなんじゃ無いですかね?」
「えぇ……」
そして、そのコロシアムで行われたことは側から見ても間違いなく奇跡だった。
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私はお菓子が好きなのですが、チョコ棒と黒かりんとうでちょーど迷っちゃいます!
昨日はチョコ棒、今日は黒かりんとうを買いまいた!(おい
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