第463話 御年玉
「あ、先輩。お年玉下さいよ! 今年まだ貰ってませんよね??」
おいおいなんだその言い方は。まるで、私が毎年お年玉をあげているみたいじゃないか。
「お年玉なんてある訳ないだろ。というか、お前もどちらかというと上げる側なんじゃないのか?」
「そーなんですよー! 私の場合は甥っ子しか現状いませんから、ひたすら溺愛していますが、私が曾祖母になる頃にはとんでもない数の子孫がいるでしょうから、大変ですよねー」
曾祖母って……後輩は何歳まで生きるつもりなんだ? しかも、彼女の場合は本当にその歳になるまで生きていそうだから笑えない。
え、魔女?
「あ、先輩。私に対して失礼なこと考えてません?」
うっ、やはり後輩は将来の魔女候補生なのかもしれない。ここまで敏感に察知されるとそう疑わざるを得ないじゃないか。
「いやいや、お前にお年玉をあげたら社員全員に配らないといけなくなるだろ? そうしたら破産してしまうなー、って考えていただけだよ」
「えー! 本当ですか? 先輩は絶対にもっとお金あるでしょー!」
「いやいや、思っているよりないと思うぞ? 私はあくまで役員報酬の範疇でしか貰っていない訳だし、億万長者でもなんでもないからな。だから飯くらいには連れて行ってあげるぞ?」
それに、実は後輩との食事は経費で落としているのだ。だって、あれも立派な会議、だからな。
「はぁー、先輩でも破産しちゃうんですね……残念です。あ、そうだ! どうせ貰えないなら、プレイヤーに大配布しちゃいますか!」
「え?」
「ほら、この世のお金は有限ですけど、私たちの世界のお金や経験値ってある種無限じゃないですか? 一挙大放出しちゃいましょうよ!」
ふむ、確かに悪くないな。ただ、
「塩梅だけはちゃんと気をつけるんだぞ。強くなる過程が一番楽しいんだから、その過程をすっ飛ばして強さだけを与えてしまっては、その次に来るのは飽きだけだ」
「そんなことくらい分かってますよー! ただ、私たちには彼がいますから、少しくらい経験値の紐を緩めてあげても大丈夫だと思いますよ?」
「まあ、それもそうか。そういえば彼は今、何をしているんだ?」
「え、彼ですか? あーそっか。先輩最近オフィスに来ていないことが多かったから知らないのか」
ん、ちょっと待った。その言い草はちょっと心配になるな。
「彼、最近ユグドラシルのフラグをぶち抜いちゃったんですよ!」
彼女は満面の笑顔でそういった。え、ユグドラシル??
「ユグドラシル、ってあの、ユグドラシル、だよな?」
「はい! ってか、そのユグドラシル以外にも何か別のユグドラシルがあるんですか??」
いやまあ、ある訳ないよな。なんせ、ユグドラシルは正真正銘、このゲームのエンドコンテンツなのだから。
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ふふ、やればできるじゃないか私。ただ、まだ本編の方を執筆していないんだよなー。頑張れー絶対にお前はできるぞー。みんなも応援してくれー!
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