第459話 テンハラ


「チート魔王によるー、ドキドキガチャガチャ石碑開封タイム開始ー!」


「は?」


「いや、ほら彼土蜘蛛と大天狗に壊させた石碑の内容を確認するんですよ? 一気にガチャを回すってそりゃもう最高じゃ無いですか! その結果を追わずして先輩は何をしようというんですか!」


 物凄い熱量だな。後輩ってそんなにガチャガチャ好きだったか? 気付かぬうちに全財産溶かしてそうで怖いんだが。


「お、一発目は八岐大蛇ですね! あの素戔嗚スサノオが倒したとされる大蛇ですね。この世界では確か水属性がメインだったかな? とにかく超強い大当たりですね! 流石は彼です!」


 一発目から八岐大蛇って……いや、確か全部石碑壊したんだろ? それで良いやつから順に持ってきたらそりゃそうなるか。だから当たりもハズレもないだろ。


「そう言えば、彼は以前天叢雲剣持ってましたよね? 喧嘩しないですかね? あ、でも今は統合してるから大丈夫か!」


 彼女は一体何を言ってるんだ? 良いから落ち着いて欲しい。最近ちょっと仕事入れすぎたんだろうか。


「お、次は土蜘蛛からですね、っておーっとこれは酒呑童子! 圧倒的な力と強さで他者を圧倒する最強の鬼!! 八岐大蛇に続いて酒呑童子とは彼、持ってますね!」


 いや、だから良い奴だけを持ってきてるんだって。それになんだ力と強さって絶妙に意味が被ってるようで被ってなさそうだし、もうツッコミどころが多すぎるぞ。多すぎてこっちが疲れてしまうくらいだ。


 でも、酒呑童子も石碑に封印されていたんだな。それこそこの世界の何処かでエリアボスを任されていても不思議じゃなさそうな存在なのだが。


 彼女としては三妖が最強、というスタンスを崩したくなかったのだろうか。まあ、それは彼女しかわからないことだな。


「っと、次はダイダラボッチ!? これを引き当てるとは流石ですね! これは巨人の妖で圧倒的なパワーが持ち味です!」


 おいおいまたパワーかよ、早速キャラ被りしてるじゃねーか。


「ここでダイダラボッチについての豆知識、ダイダラボッチは漢字で書くと大太郎法師とされていて、一寸法師と対になる存在なんですよ! 一寸法師とダイダラボッチがペアって、多分史上最大の凸凹コンビですよね!」


 へーそれは知らなかった。って、本当に関係のないことぶち込んできたな。というか、今日の彼女はなんでテンションがこんなにも高いんだ?


 女の子の日とかでテンションが低いのならまだ分かるが、テンションが高いのは純粋に理由が気になってしまう。今日は一体何んの日なのだろうか。


「お、次は海坊主! 海坊主はですね…………」


 そこからは彼女の無限講釈編が開始された。流石に私もついていくことができずにドロップアウトしてしまった。


 ただ、唯一救いだったのが、レアキャラが前半の方に集中していたため、後半の方でレアリティが下がると共にテンションも落ち着いたことだ。


 単純にあのテンションが維持され続けたらただの災害だからな。本当に気をつけて欲しい。テンションハラスメントとか命名されていないのだろうか。










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テンハラ、漢字で書くと天原。今回の後輩のテンションは高かったので高いテンハラ、つまり……


私は天才かもしれない(は???)

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