第450話 智
「もしもし? ちょっと話したいことがあるんだが時間取れるか? うん、あぁすぐ終わる。すまない。場所はー……いつもの場所で、はい、はーい」
ふぅ、今日は株主の友人の所に行く予定だ。私が百パーセント株を持っていたらこれ以上なく明快だったのだが、会社を始める時にお金が足りず融資してくれた友人がいるのだ。その友人はもう何十年来の友で、今更面と向かって話すことが気まずいレベルだ。
陽が落ちてこれから街に活気が出るだろうという時に、私はあるレストランの個室に入った。大事な話をする時は流石に個室が良い。
どうやら先に私が着いたようだ。ドリンクだけ先に注文し、私は友人を待った。そして、二時間後、
「ごめんごめん、待った?」
ようやく来た。もう友人を辞めようかと思っていたのだが、来てくれてよかった。あと一時間もすれば友人を辞めていた所だった。
「あぁ、かなりな。まだ注文していないから先に済ませておこう」
「わりーな、ちょっと会議が立て込んじゃって」
そう、私の友人はなかなかに忙しい人なのだ。私よりも早く成功し、お金もたくさん持っている反面、自由な時間も限られているようだ。そう考えると、私は毎日彼の観察をしているだけでいいのだから、楽なもんだよな。
「あぁ、分かっているよそれより今日は……」
「どうせ株のことだろう?」
私が口を開こうとしたら先手を打たれてしまった。まさかもう情報を手に入れているとはな、油断ならないな全く。
「流石に耳が早いな。どこでそれを?」
「いや、何、俺の所にも売ってくれっていう打診が来たんだよ」
「そうか……それで?」
流石に大企業というだけはあってこういう行動は早いんだな。もし私が51%分以上持っていなかったらと考えると、、、恐ろしい。
「売ってねーよ。売るわけないだろ? そもそも俺はお金に困ってないし、俺がいまだに株を持っているのはこうやって何かあった時にお前にうぇーいっていう為なんだからよ」
「……趣味が悪いな。でも、かなりの額だったんじゃないのか?」
「んにゃ? まあまあだったぞ。それこそ新車買えるくらいだったかな? 今は別に欲しい車なんてなかったからなー」
新車買える値段がまあまあって、流石にその域までは私は行っていない。というかどうやっていけるかも謎だし、行きたいとすら思えないぞ。しかも、コイツの新車ってそんじょそこらの車じゃないからな。
「あ、でも二台目の船は買ってもよかったな。今から売ってこようかな?」
「おい」
「冗談だよ! それで今調子の方はどうなんだ? 上手くいってんのか?」
「あぁ。最近、ちょっと厄介なプレイヤーが現れてだな・・・」
そこからはお互いの近況報告をしたり、未来の展望について話したりととても有意義で幸せな時間を過ごすことができた。やはり持つべきものは友だな。
因みに、会計は私が持った。……新車買ってもらおうかな? 通勤手段は徒歩だけど。
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皆さんは好きな車とかありますか?
実は私……ないんですよね( ´∀`)
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