第446話 ガソリンは感情


「妖最強ってことか? 土蜘蛛が」


「えぇ、まああくまで野良妖怪で、という話ですが。妖全体だと例えば妖の館のマスターやその他にもたくさん強い妖はいますよ」


「そうか……」


 強きものの元へ強きものが集まるのだろうな。じゃあ、弱きものはどうすればいいというのだろうか。弱きものが強くなる為にはどうすればいいのだろうな。


「でもこうなってくるといよいよこの世界でも彼に勝てそうなプレイヤーはいなくなってくるな」


「確かにそうですねー。でもまだなんとかなる範囲ではありますよ?」


「そうか? 彼が誰かに負ける未来は想像つかないんだが」


「んー、どうでしょうね? そりゃ彼が今すぐ負けることはあまりにも非現実的ですが、何事にも終わりはつきものです。きっと、彼を打ち破るプレイヤーが現れると思いますよ? それか……」


「それか?」


「彼の命もまた、永遠ではありませんからね」


「なっ、おいおいそりゃ不謹慎がすぎるだろう」


「いや、本気ですよ? 皆人間は死にますし、それがいつくるかだってわかりません。私たちだって明日終わりが来るかもしれないんですよ? それに、別に現実世界だけの話じゃありません。彼がゲームに飽きたり、なんらかの理由でプレイできなくなる可能性だってあります」


「それはそうだが……」


「だからそんなに悲観することも心配することもないんですよ。きっと神の見えざる手がいい感じにしてくれます!」


 ……急に最後雑になったな。それにしても彼女は時々こういう深い話をしてくる。普段の精神年齢は幼いと思っているのだが、こういう時のために貯めているのか?


「だが、実際のところどう思う? 妖の隔世だけに限らず今から始めたプレイヤーが彼に勝てると思うか? 先行者利益はやはり大きいだろう?」


「そりゃまあなるだけ早く始めるに越したことはないと思いますが、かと言って一番最初に始めた人が一番強くなれる訳でもないですよね? 実際彼だって最初期に始めた訳ではないですし」


「それもそうだな。でもだからと言って今から彼を超える逸材が現れるのなんて想像もできないぞ?」


「それを言ってしまえば彼がくることだって想像できなかったじゃないですか。いつもエイリアンは我々の感知し得ない所からやってくるものですよ。それに、いつ始めるかも重要ですが、どのようにプレイするかも大事だと思いますよ?」


「というと?」


「だってほら、彼は最強プレイヤーになろうとしてそうなった訳じゃないですか? 強くなろうとすれば既存のレールを走らざるを得ません。そうなるとやはり最初に走り始めた人が強いですし、最短距離を速く走ったもの勝ちになっちゃいます。あとは量産型に陥ってしまいますしね。つまりはそうじゃないところを走った人が強くなれるんじゃないですか?」


「そうか」


 量産型、か。


「まあ、あとはどれだけ突き抜けられるかじゃないですか? 既存のレールを走るにしろ独自で道を切り開くにせよ、全力疾走してないと抜かれちゃいますもんね」


 結局は搭載エンジン次第、ってことだな。それでいうと彼は、、、恐ろしく大きいガソリンを持っていたのだろうか。それとも無限の燃料を拵えていたのか。


 なんだか意図していなかったが、ここらへんに彼を更に深く知る手がかりがありそうだ。










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難化悪薦奴盧悪菓子蟻鱒火?愛洲出喪良胃出酢

(なんか知らんけどめっちゃ中国語っぽくなったな

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