第439話 隔たりの概念
妖の代わりにスケルトンを召喚して差し出すって……これはどうなんだ? いやまあ彼らはこの隔世に来て時間もそんなに経っておらず、妖を一体しか持っていなかったというのもあるから仕方ないのだろうが、バレた時のことなど考えていないのだろうか。
私なら怖くてできないぞそんなこと、肝が据わりすぎだろう。まあ、最悪武力でどうにかなると思っているのかもしれないが。
それにしても頭がいいというか、奇想天外すぎるな彼は。
妖は無数に種類があり、プレイヤーは誰もその全貌を把握していない。つまり、どんな生物だって妖だと言い張ればそうなってしまう。言われてみればその通りなんだが、それを瞬時に思いついて実行に起こすところが凄い。
こういうったちょっとしたハックに気づくことこそが彼の強さの根源なのではないだろうか。死に戻りで強くなるにしろ、その他諸々、誰も思い付かないような、でも確かに事実としてそこに存在する答えを見つけるのが得意なのだろう。
そしてそういう小さな機転の積み重ねが今の彼の強さを体現しているのだろうな。ん、そういえば、
「この世界は妖の隔世なのだろう? なんでスケルトンを召喚できてるんだ?」
あらゆる世界と隔たれているからこそ隔世なのであって、その隔たりを無視できるのならばそれは隔世じゃないのでは?
「ん、あぁ確かにその疑問は最もですね。ですが、そもそもそのスケルトンは彼の死骸魔術によって召喚された者です。死骸魔術は死者の魂なんかを使用して効果を発揮します。この世界でも大勢の生物が、人間が死んでいるでしょう? だから使えて当然なんですよ」
ふむ、なるほど。あくまで隔世の内側の魂を利用した、ということか。だが、それでは説明のつかないことがあるな。
「だが、死骸魔術の召喚でケルベロスを召喚したり、獄界のNPCを召喚したりできるだろう? それに関してはどうなるんだ?」
「それは獄界にアクセスしないといけないから使用できないと思いますよ。それに、以前獄界のNPC、確か獄界序列四位のキャラがやって来ましたが、あれは恐らく獄界側から無理やり割り込んだ結果だと思われます。そもそも、彼はそのNPCを召喚しようとはしていませんでしたからね」
なるほど、あくまで隔世の内側から外側に干渉するのは不可能というわけだな。
「じゃあ、彼が死骸魔術を通じて獄界NPCを召喚してこの世界から脱出する、というのは無理ってことか」
「はい、そうですね! あ、でもそんなことしなくても彼には確か獄界に直接行くことができるスキルがありましたよね? もしかしたらそれを使えば出られちゃうかもしれないですね」
「ん、なんだそのスキルは」
「えーっと確か獄門橋でしたかね? あれは、今いる世界に獄界へと橋を架けるスキルですから、もしかしたらいけちゃうかもしれません」
おいおい、それでいいのか? 隔世だけど橋を架けたら越えれるってことか? 彼の無限の魔力があれば普通にできそうだし……え、そもそも隔世ってなんだ? そこはちゃんとブロックしてくれよ。
「まあ、ちゃんと検証してないから普通に無理かもしれませんし、そもそも彼の場合はそんな手段を使わないと思いますよ? だって、そんなことをしたら自分でこの隔世に負けたことを証明するようなものですから。きっと自分の手で何もかもぶち壊して出てくるんじゃないですかね?」
あ、あぁそうだな。きっとそうだ。というか、絶対そうなんだろうな。
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よし、いい感じに説明できたぞ!
多分、これで大丈夫だよね???
最近金遣いが荒い気がする……皆さんは自由に使える、ただし使わなければならないお金があれば真っ先に何を買いますか?
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