第436話 NewGame+
「あ! 遂に彼が妖の隔世に入りましたよ!」
「ん? 妖の隔世? 遂に? 彼はまだそこに行ったことがなかったのか?」
「そうですよ! だって、まだ出口が見つかってないじゃないですか! もし彼が今までに一度でも入ったことがあるのならば、とっくに幽閉されている人たちも帰ってこられますよ! まあ、彼の場合は秘匿する可能性は大いにあるでしょうが」
彼が出口を見つけられることは信じて疑わないのだな。でも、まあ彼が苦戦する姿も想像できないな。どうせ直ぐに気がつくのだろうな。
「にしても彼にしては珍しくかなり遅めの参入じゃないか? 彼は全ての物事において一番でその利益を貪り喰らうような人物だと思っていたのだが」
「ぷぷっ! なんですかそれは! その言い草だとまるで彼が化け物みたいじゃないですか! ……あながち間違いでもないのか。でもまあ、これに関しては彼も一人の人間であることを証明したんじゃないんですか?」
「というと?」
「だってほら、確かに彼は今までこの世界の最前線で直走って独走し続けていましたが、それでも進める方向は一直線ということですよ。彼の体は一つしかないし、できることには限界があるということです」
まあ、そりゃそうだろうな。限界も何もない彼なんて見たくもない。ただでさえ限界突破しているようなものなのだから。
「しかもそれが妖の隔世なんですよ? まるで彼がこの世界リスタートするみたいですね! もう既にこの世界では現世とはまた違ったルールと価値観が構築されています。それに彼がどう対応するのか見ものですね!」
確かに、そう言われてみると興味が湧いてきたな。現世最強の座を
「先輩! なんだか異世界転生ものみたいですね! ゲームの中で転生すら行うなんて彼はどれだけ欲張りなんでしょう!」
いや、転生は言い過ぎじゃないか? それにこれに関しては意図して行ったものじゃないだろうし。だが、
「もしそうだとしたら確実に、強くてニューゲーム、だろうな」
「プハッ! 確かにそうですね! はぁ、彼は一体どんなことをしてどんな妖を従えていくのでしょう! そして彼はどのくらいの時間をかけて出口を見つけるのでしょうね!」
やっぱり彼が出口を見つけることは後輩の中ではもう既に確定事項のようだ。
「それで、妖の隔世に入った彼は今何をしているんだ? 何事も初動が大事だろう?」
「え? それは……彼、今、拷問してますね」
「拷問!?」
「はい。どうやら初心者狩りに来た二人組のプレイヤーを返り討ちにしただけでなくその場で生捕りにして、この世界の情報を聞き出そうとしているみたいです!
いやまあ確かに新天地での情報収集は大事だろうが、初手で拷問ってぶっ飛びすぎだろう。
「それでどうやって拷問してるんだ?」
「石化して指を折って、石化を解除してますね」
うわぁ……考えたくもないな。
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期待に応えるマグ太郎、流石っす!(というコメントお待ちしております
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