第434話 穏波


「どうだ? 何か動きは見られたか?」


「いやいや、まだNPCを実装してから五分と経ってないですよ? もう動きがあったら怖いですよ!」


 七大罪の情報を仄めかすNPCの存在がこの世界にどのような影響を齎すのか非常に楽しみだな。ただ、一つ言えることは、私たちの思い通りには決して行かないと言うことだ。


 どれだけ策を練ったところで動き始めた大きな波を止めることは不可能だからな。だからこそ我々は種を蒔いて後はただ只管観察するだけなのだ。


「はー、まあモニターの前にしがみついていても誰か来るわけじゃないですもんね〜先輩ーご飯、いや三時のおやつでも食べに行きましょー!」


 そう来たか。確かに私は今、ここいらでほっと一息つけるかも、と思ったが、やはり何事も思い通りには行かないらしい。


 ……と言うか、これに関しては種蒔きすらしていなんだがな。


「今日は久しぶりにケーキでも食べに行きますか!」


 久しぶり? おかしいな、私は彼女がケーキを食べているところをここ最近、何度も見たことがあるような気がするのだが。まあ、何を言っても止められない。諦めよう。


 ❇︎


「えーっとショートケーキと、レアチーズケーキで!」


「すみません、ホットコーヒーを一つ」


「かしこまりました」


 後輩は平然とケーキを二つ頼んだが、これは私の分まで頼んでくれたという優しさではなく、単純に自分が二つ食べると言うだけだ。


 ここで私がケーキを頼むと、彼女が大食漢ということがバレてしまうから、先輩として配慮しているのだ。まあ、この年でこの時間にケーキは重たいというのもあるが。ん、後輩は漢じゃないって? あぁ、そうだな。


「そういえば先輩は結婚とかしないんですか?」


「結婚? そうだな今の所は全く予定がないな」


 正直、今の時代そこまで結婚するメリットがないように思える。同棲することによって支出を抑えることができるくらいのメリットしか思い浮かばないのだ。


 勿論、愛し合える相手がいる方はどうぞご自由に、という感じだが、生憎私にはそのような存在がいない。それに、


「今はゲームが第一優先だからな。結婚なんて考えている暇すらなかったぞ」


「そうですか? 先輩は子供とか欲しくないんですかー? 私はいつか絶対に子供は欲しいですけどね!」


 そうかそうか、勝手にしてくれ。私には縁のない話だ。


 それにしても珍しいな、後輩からこんな話をするなんて。もしかして最近良い相手を見つけたのだろうか。もしそうなら、先輩として快く祝福してやらないとな。


「……」


「あ、きたきた! わーおいしそー!!」


 うん。もし仮に後輩が結婚したらその時は特大のウェディングケーキを贈呈しよう。








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GW初日は気付けばもう終わりそうです。休日だけ一日の長さ二倍ボーナスとかやってないですかね??

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