第433話 結局二転

 

「謎解きって作る側になると意外と難しいもんですね。簡単な問題とかは一瞬で解けても作るのはそうじゃないんですね……」


 確かにそうだな。でもまあそれはどんな物事にも当てはまるのだろうな。


 ゲームで遊ぶよりも作る方が難しいし、アニメもそうだ。享受する側はいつも楽しているからこそ、作り手に敬意を払わなければならないのだろう。


 まあ、私は敬意を払われたくてゲームを作っているわけではないが。


「あれ、ちょっと待ってください?」


 おっと、彼女が何かに気づいてしまったようだ。


「そもそも七大罪スキルってその感情が一定値を超えると取得できるんですよね? いくら情報を渡したところでそれは直ぐにできるものじゃないですよね? しかも、彼はもうその方法について知っているわけだし」


「あ、確かに」


「私たちは一体何をしていたんでしょう? そうですよこんなことをしても意味ないですよ! 彼が獲得しようとすればもう全部コンプリートするんでしょうから。え、でもまだコンプしてないってことは、彼は揃える気がないってことですかね?」


 言われてみればそうだな。彼が憤怒を獲得したのは随分と昔の話だ。それなのに他のスキルの取得をしていないと言うことを考えれば、彼が狙っていない可能性も浮上してくる。


 ただ、彼がその感情のラインに到達できていないだけかもしれないが。


 それでも嫉妬に関しては他のプレイヤーに先を越されているのは事実だ。積極的に取得しようとしていない、と言うのはほぼ真実かもしれない。


「え、じゃあもう私たち何もする必要なくないですか?」


 彼女は今までの自分の行いが無駄だったと思い意気消沈しているようだ。


「そうでもないだろう。彼が積極的に動いていないことと、他のプレイヤーに取得させるは別にイコールでは結ばれない。彼は積極的じゃなくてもゲットしてしまう可能性があるのだから、一般プレイヤーに取得させるよう動くことは別に良いんじゃないか?」


「まあ、そうですけどぉ。その具体的な方法が無いって話ですよね? どうするんです?」


「もういっそのこと情報を公開してしまったらどうだ?」


「え? それはもう本末転倒どころの騒ぎじゃないですよ!」


「まあ落ち着け、今回はかなり具体的なプランだ。別に彼が積極的に動いていないという仮説が我々の間で立ったのだからそれを検証すると言う意味合いを込めても、一度、それとなく情報を仄めかすNPCを設置してみると言うのはどうだ?」


「あっ……なるほど」


「そうだ。そうすればどうせ彼のところにも情報は届くだろう。だが、その反応を見て仮説の真偽が確かめられるし、さらにはプレイヤーに動機付けすることも可能だ。存在があることを教わるだけでも効果はあると思うぞ?」


「確かにそうですね! 今までプレイヤーだけにわかること、っていう視点で考えていましたが、彼が知っていることを公開すれば実質プレイヤーだけになりますもんね! 先輩、やればできるじゃないですかー!」


 ん、なぜそうなる? 思っていた反応と違うんだが。


 もっとこう尊敬されると踏んでいたのだが……どうやら私も敬意を払ってもらいたかったようだ。








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投稿時間を遅らせるときは大抵運営編をサボりがちなのですが、今日はなんとか投稿できました!!


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