第428話 暴徒烈火


「で、では直球で質問させていただきます。何故、ライト様はあれだけ死に続けていらっしゃるのですか?」


 全く、どれほどの強心臓があればこんな質問を他人に投げかけることができるのだろうか。リスペクトを超えてもはや怖いな。


 現実世界でこんなことしたら普通に引かれるぞ? まあ、彼にはもう既に引かれているかも知れないが。


「……」


 ほら、彼を困らせちゃったじゃないか。そもそもこんなデリケートなこと人に聞くもんじゃないだろ。絶対に答えてくれるわけが


「本当は死ぬことが目的ではなく、痛みに慣れたくて始めたことなんです。単純にほら、男なら痛みに強いってだけで憧れる生き物でしょう? 恥ずかしながらそういう理由なんです……」


 あった。


 マジか。しかも理由も意外と可愛らしいな。まさか、そんな理由だったとは。


 いや、待てよ。彼は私たちに対して警戒をしていたよな? それなのにいきなり本音で話すだろうか。確かに今の答えはとても真実味があり、納得できるものだった。自らの恥ずかしい部分まで曝け出してくれて、これ以上にない答えのように思える。


 だが、いやだからこそ素直に信じることができない。


 これは私が捻くれているのだろうか。


 私も専門家ではないにしろ、色んな企業のお偉いさんと何人も話してきた。その経験からするとやはりどこか臭う。


 まあ、本当に臭うレベルだからこそ勘違いの可能性もあるが……彼ならやりかねないと思っている。少なくとも今までの観察結果から彼はそれほどの人間だと私は推定している。


「なるほど! そう言う理由だったんですね! そこからの延長線上で死にまくって色んなことへのスキル的な耐性だけでなく、精神的な耐性を身につけていったと言うことですか!」


 だが、彼女は特に違和感などは感じなかったようだ。今まで知りたくても知れなかったことが知れてとても大満足、という表情だな。いや、顔は見えないが。


「では続きまして、これからの展望についてご質問させて頂きたいと思います。ライト様は現在魔王としてプレイヤーの第一戦でご活躍なされていると思うのですが、今後どのようなことをしていきたい、みたいなことはありますでしょうか?」


 ふむ、自然な流れでこれからの展開について質問したな。これは彼女自身も気になっているだろうが、運営として彼を何かサポートできないか、ということでもある。


「神様になりたいですね、と言うか目下なろうとしております」


「神様……またそれは何故? 魔王はもう十分神様みたいなものじゃないんですか?」


 そういえば確かに彼は神になろうとしていたな。これに関しては後輩と全くの同意見だな。何故神になるのか理由がとても気になる。

 

「今まで、私はこの力というものに重点を置いてきました。自分自身にしろ従魔にしろ量よりも質を意識してきたと思っております。しかし、戦いの中では必ずしも質を上げれば勝てる、というわけではないと思い始めました。ですので、神になることでより人を集められるようになればと思っております」


「ほうほう、なるほどなるほど。しかし、もう既に十分力をお持ちなのでは? それこそどれだけ敵に数の利をとられたところで魔王が負ける未来が見えないのですが……」


 やはり、彼はしっかりと自分を分析してその上で戦略を立ているのだろうな。答えがとてもしっかりしている。


「今は負ける未来が見えなくても、敵も人間ですからいずれ追いつかれると思っています。それに、現時点でも全プレイヤーを敵に回したら負ける可能性は十分にあります。私の体は一つなのに対して、幾つもの体に無限ゾンビアタックを敢行されれば流石にどうしようもないでしょう」


 彼自身もまたプレイヤーであるからこそ、プレイヤーの怖さを理解し、その上でちゃんと対策を講じている。流石だな。


「なるほど、そういった理由で目には目を、じゃないですけどプレイヤーの戦力も保持しておきたいということですね!」


「はい」


 さて、こんな彼の解答にして彼女は運営としてどのような提案をするのだろうか。


「では、全プレイヤーが敵に回るような、そんなイベントをご用意させてもらってもよろしいですか?」


 ……は?? いや、絶対にそうじゃないだろ。








━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ごめんなさいサブタイトルには何の意味もありません()

インタビューはいかがですか?内容が重複しすぎてつまらないでしょうか?

感想をいただけると嬉しいです!m(_ _)m

まあ、これが最後の可能性も十分にありますが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る