第422話 先輩の気持ち


「先輩ー、彼は人間対魔物の戦いを爆撃で終わらせて、その後報酬として魔物プレイヤーをSPを使って強化しているんですけど、新作ゲームの調子はどんな感じですか〜?」


 ちょっと待て、新作ゲームがどうのこうのよりも彼の動向の方が気になって仕方ないんだが?


「なんだSPを使って強化するって、そんなこと可能なのか?」


「えぇ、どうやら強制進化を使って、本来なら素材を使うところにSPを投入したみたいなんです」


「へー、でそれをされたプレイヤーはどうなるんだ?」


「1ポイント当たり、全ステータスが1増加するみたいです」


「は? ぶっ壊れじゃねーか。そんなのアリなのか?」


「アリもナシも現に起きちゃってますからねー。しかも、彼にとってSPは必要のないもので今の時点でも腐るほど持っていますからねー。ってか、この強制進化に使う前はカンストしてましたしね」


 SPってカンストするものなのか? ……まあ、彼のプレイスタイルからすれば納得はできるが、それにしてもなんというか規格外というか、常識はずれというか、本当に読めない人間だ。その内、自分のレベルも要らないからって強制進化に使ってしまいそうだな。


 にしても、魔物対人間の戦イベントを作ってくれて挙句のはてに報酬までちゃんと用意してくれるなんて、運営並みに仕事をしてくれているな。彼をこちら側に引き込んだのは正解だったのかもしれないな。


 読めないからこそ、我々運営には無い発想で他のプレイヤーたちを楽しませてくれる。


「先輩、話逸らさないでくださいよー。新作ゲームの進捗はどうなんですか?」


「あぁ、そうだったな」


 逸らすも何も、逸らす前から気になる話題を出されてしまってはそっちに引っ張られてしまうのは当然だろう。


「新作ゲームか。まあ、難しいところではあるな」


「何が難しいんですか? 上手くいっていないんですか?」


「上手くいっていないことはないんだが、ずっとそれと向き合っていると、何が面白いのか、何が楽しんでもらえることなのか分からなくなってくるのだ。独りよがりなものになっていないか常に確認してもどこか不安が残る」


「そうですかー。意外と先輩も悩んでいるんですね。このゲームを作っているときはそんな不安なかったじゃないですか? どうしてまた新作はそんな迷いがあるんですか?」


「そうだな、恐らくこのゲームを多少なりとも成功させてしまったからじゃないか? よくも悪くも次のものは期待されるし、それに応えたいと思っている。だから中途半端なものは出せないし、躊躇しているのだと思う。後、最初は恐れ知らずだった、というのもあるだろうな」


「へーなんだか珍しいですね先輩がそんなこと言うの。でもまあ、結局は時の運だと思いますよ? 人事を尽くして天命を待てば良いんじゃないですか?」


「それもそうだな」


「はい! じゃあとりあえず気分転換にご飯食べに行きましょ! ほら、先輩の変な話聞いて空気が重くなったからここは焼肉を食べて油と一緒に落としてしまいましょう!」


 こ、この人は一体何を言っているんだ?


 ……でもまあ、後輩なりに相談に乗ってくれたのだろうな。それについては感謝しないとだな。まあ、その感謝の気持ちはお会計という形で表明することが求められるが。








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携帯アプリを思い切って買ってみたら思いの外ハマってしまいました…

これは支障が出ますぞ、、、でも区切りが付けられるので逆に良いかもしれません?


時間を忘れて夢中になれるものって良いですよね!

皆さんはどんなことに心を奪われますか??

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