第418話 さわり
「じゃあちょっと会議をしてくる」
「はーい」
私は後輩との監視を一旦打ち切り、仕事へと向かった。目下、新規ゲームプロジェクトが進行中なのだ。今のところ私が介入してはいるものの、何は完全に手をひきたいと思っている。だからこそ、地盤固めをしなければならない。
❇︎
「会議はどんな感じだったんですか?」
それで私たちは今、レストランに来ていた。会議が終わると何故か後輩が待ち構えていて飯に誘われたのだ。一応、建前としては会議の内容が気になるとのことだったが、絶対に目当ては目の前のご飯だろう。
だからささやかな抵抗を試みる。
「ん、お前には関係ないだろ?」
「えー、関係なくはないでしょ! 先輩が携わっているんですから、後輩にも関係なくはないですよ? さわりの部分だけでもいいから教えてくださいよー!」
ん、そういえばこの台詞以前にも聞いたことがあるような。
「おい、さわりっていうのは話の導入部分って意味じゃないぞ? さわりは物語の重要なシーンだったり、話の大事な要点であったりと、最も重要なメインのことを指すんだぞ? 前も使っていた気がするがその使い方は誤用だ」
「え、そうなんですか!? 知りませんでした。でも、意味が伝わればいいですよね?」
「そうでもないぞ? 確かに意味が伝わればいいが、私は毎回、ん? ってなるぞ。ちゃんとした言葉の意味は知っておくべきだろう」
「んー、でも時代と共に言葉の意味も使い方も変わりますよ? 先輩だって古文の単語を使ってるわけじゃないですよね?」
「あぁ。それは意味が伝わらないからな。意味が伝わる現代語は覚えるべきだということだ。確かに時代と共に移ろっていくのかもしれないが、今のこの段階では正確な意味を知っている人の方が多いだろう」
「いやーどうですかね? 正直怪しいと思いますよ?」
「少なくともこれからお前が相手にしていく人たちはほとんど知っていると思うぞ?」
「うぐっ」
「まあ、私も全ての単語の正確な意味を知っているわけではないから、学ぼうとする姿勢が大切なんじゃないか?」
「はーい。でもそれはそうかもしれませんが、別にそれは会議の内容と関係ないですよね? 変な揚げ足取ってないで早く教えてくださいー」
後輩が少し不機嫌になった。やはりささやかでも抵抗はすべきではないな。
そうして無事、会議の内容を伝えて会計をし、オフィスに戻ると衝撃的な光景が広がっていた。
「「天絶之剣!?!?」」
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以前投稿した誤用話の答えです!
あまりバレていなかった答えだった気がするので書いてみました。
私も知らない言葉がたくさんありますし、誤用誤字たくさんすると思うので一緒に勉強していきましょう!(≧▽≦)
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