第417話 ラッキーバレット


「はぁ、彼がまたなんか使ってますよぉ……もう良い加減にして欲しいですよね。次は運之指弾ですって、一体どれだけの強さを彼は欲しているのでしょう?」


 彼が何かを使うのはいつもの事だろう。今更である。そしてどれだけ強さを欲しているのかも彼にしか分からない。よって今更だ。


 ……ってか彼に関して大概が今更だよな。今更だと思う事自体今更だ。


「因みに運之指弾ってどんなスキルなんだ? そんなに強いのか?」


「んー、強いかどうかで言うと正直なところよく分からないですね」


「よく分からない?」


 珍しいな彼女がこんな物言いをするなんて。彼女は美味しいものを口にすれば美味しいと必ず言い、美しいものを目にしたら必ずなんらかの賛辞を口にする。もちろんその逆もしかりだ。まあ、人を傷つけはしないだろうが。


 そんな彼女がよく分からない、ということは本当によく分からないのだろう。


「あ、でもやっぱり強いっちゃ強いですよ? 彼の強メンツに比べたらって話なので」


「そうか。それでスキルの効果は?」


「あぁ、そうでしたね。このスキルはその名の通り指から弾丸を放つのですが、その弾が運によって左右される、っていう仕組みになってますね。発射された弾は狙った敵の体のどこかに必ず、当たります。そしてその弾の属性、特性などが抽選で選ばれるってわけです」


 なるほど、それで運之指弾、ということなのか。それにしても中々面白いスキルだな。全てを運任せというか、必ず当たって結果が出るというのも面白いし、でも弾丸だからちゃんとダメージも入るんだろうな。


「あ、彼がバンバン使ってますよ! お、今のところはいいクジを弾き続けているようですね!」


「いいクジ?」


「はい。だって、抽選ってことは絶対に当たりがあってハズレもあるってことですよね? きっと、都合の悪い弾も撃たれると思いますよ?」


 都合の悪い弾だって? 属性とか特性っていうのは、炎とか水であったり、貫通とか散弾であったりするもんじゃないのか? そういう意味じゃないのか?


「ほら、見てくださいよ! 彼、今一体の悪魔に三発撃ち込んだんですが、全部外れ引いちゃってますよ! 一つは弾丸無効属性、もう一つはSTR、AGIのバフ特性、ラストは今までの弾丸のダメージを帳消しにする回復属性! これは流石の彼でも痛いですね!」


「……」


 え、属性とか特性ってそういうこと!? そんなのなんでもありじゃねーか。もはや属性でも特性でもなくないか? そもそもなんだよ弾丸無効って、彼ですら持ってないだろそんな属性。バフとか回復もあるし確かにこれは強い、じゃなくて分からない、が正解だな。


 だって撃ってみないと分からないんだもん。


 ん、ってことはこの逆もあるかもしれないってことだろ……? 頭がパンクしそうだ。使い勝手悪すぎないか??










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最近ちゃんとアニメを見るようになりました。

アニメって凄いですね。本当に。

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