第398話 ノーリアクションな驚き


「あ、彼が獄界から帰ってきましたね。なんだかんだ充実して遠征だったんじゃないでしょうか? 最初は旅行気分だったのが、強敵の出現で強化合宿となっておりましたね」


 ま、まあそうだな。彼としては最初から強化するつもりだったのに旅行と言われて不服かもしれないが、事実そうなっているかまあ許してくれることだろう。


「ん、なんかメガネくんと何か会話していますよ? 何かあったのでしょうか?」


 メガネくんは確か人間側の情報を仕入れてくれるプレイヤーだったか。彼は一応NPCのふりをしてくれているから、プレイヤーの協力者というのはいささか不安ではあるものの、プレイヤー側の動きを教えてくれる、という意味では心強い味方だな。


「ふむふむ、どうやら魔王城にプレイヤーが攻め込んでくるみたいです。しかもその約数五千」


「約五千!!??」


 どうやったらそんな数字を集められるんだ? 作者が桁を間違えて非現実的になったとしか思えないんだが。でも仮にもし、本当に五千人もの大群を動かせる存在がいるのならば、彼にとってかなりの脅威ではなかろうか。


「はい、五千ともなれば流石に……」


 流石に彼と言っても厳しいか。五千ってことは次から次へと援軍が到着するわけだからな。一人倒す間にもう一人がやってくるし、倒された奴らも他のプレイヤーが相手している間に戻ってくることができるかもしれない。


 もしそうなれば実質無限ゾンビアタックだ。終わることのない死の行進の前にはいかに彼といえども厳しいものがあるだろうな。


「流石にー鬼火も進化するでしょうね」


「え?」


「だって、ほら獄界でゲットした鬼火はそのスキルで倒した数だけ進化しますよね? ってことははい、そういうことです」


 え、そういうことなのか? 本当に? でも相手五千人もいるんだぞ? 流石に彼と言っても無理が……


「あ」


「ほら言ったでしょ?」


 彼が放った鬼火は敵軍全体を包み込み、そして骨一つ残さず全てを燃やし尽くした。


「はあ、やっぱりちゃんと進化してますね。鬼火が鬼炎になり鬼炎が燐火になり燐火が燐炎になってますよ」


 え、そこなのか? 本当にリアクションするところはそこでいいのか? だって、たった今五千人が一瞬で灰になったんだぞ? それについてはノータッチ、もはや当たり前のこととして受け入れるのか?


 だってほら、もしこれが戦国時代だったらもうあり得ないことだぞ? 一瞬で五千ってもはや度を越しているとかそういう次元ですらない。でも、、、


「そ、そうだな……」


 そんな当たり前ですよね? みたいな顔されたらこっちも何もいえないじゃないか。クッソーこれもどれも全部彼のせいだからな。


「燐炎!? 閻魔って確か燐火じゃなかったか?」


「ええ、そうでしたね」


 いやせめてそっちには驚けよ!!








——————————————————

五千って、馬鹿だよなーほんと


というわけで今日は皆さんが馬鹿だなーっと思ったエピソードをお願いします!

他者を傷つけるような内容はNGです!あ、私ならOKですよ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る