第396話 ファンタジーの世界


 魔王と閻魔、その戦いは両者の一挙手一投足に目が離せないものだった。


 彼が閻魔に対してあろうことか鬼火を放つと、閻魔はその進化形態である燐火で迎え撃った。


 それで閻魔の力をある程度把握したのか、彼は龍宿で龍の力を体に宿し、筋骨隆々更には爆虐魔法を自分の機動力ブースト用に使うという荒技までして、閻魔に断罪絶刀を届けようとした。


 そしてその刀は、閻魔の首を切り落とした。


「あれ?」


 思ったよりも早く決着がついたな。ここはその彼の攻撃を間一髪で躱し逆に手痛い反撃を食らわせる、というところまでは見えていたんだが……これは幻覚だったようだ。


 そして、閻魔の首のない体が動き頭をセットした。


「え?」


 なんで頭切り落とされてるのに体が動いちゃってるの? 閻魔ってそういう生き物なの? 不死なの? ガッツリちゃんと不死なの?


 そこからの展開はさらに急だった。なんと、彼が閻魔の首を切り落としたことで閻魔が彼を認めたのだ。 強い者にはちゃんとリスペクトを払うところはやはり獄界なのか、と感じてしまう。現実世界もこれくらいシンプルだったら分かりやすいのにな。


 そして、あれよあれよという間に彼と閻魔は友達となってしまった。そこから互いに情報交換をし、彼は現世へと帰っていった。


「あれ、まだいたんですか先輩? もう帰る時間ですよね?」


「あぁ、そうだがちょっと彼の様子が気になってな」


「へぇーあんなに早く帰りたがりの先輩が彼を見てるって相当面白い展開だったんですか?」


 彼女はこの一瞬、用事があったらしく席を外していた。彼女がいなかったからその間目を光らせておいた、という側面もあるのだがこれは別に言わなくて良いか。


「んー彼と閻魔が友達になってたぞ」


「友達!?」


「あぁ、男の友情って奴だろう。手合わせをしたこと閻魔が彼の強さを認めてそこから和気藹々と喋ってたよ」


「これだから男の人ってのは……でもそれで彼が何か劇的に強くなった、とかはないんですよね?」


「あぁ、そうだな。そこは安心してくれていい。ただ、閻魔が鬼火の進化系を使ってたからそれに触発されて彼も進化させたくなる可能性は十分にあるな。そのくらいじゃないか?」


「ま、まあそのくらいなら別に良いですよ。というかもう遅いですし帰りませんか? お腹すきましたし」


 おい、絶対最後のが目的だろ。私は飯を奢ってくれるおじさんか何かと勘違いしていないか?


 でもまあここまで言われたらもう私には一緒に飯に行くという選択肢しか残されていないんだが。


「こんな時間に行くのか? どこに行くんだ?」


「んー時間も時間ですから牛丼、ですかね?」


 お、珍しいな。まあ確かに時間の制約は仕方ないか。だがこれで私の財布へのダメージは軽減されたといっても良いだろう。


 その後、彼女はフードファイターもかくやというほどに牛丼を喰らい続け、チェーン店とは思えないお会計を叩き出したのであった。


 もうここまでくるともはやその体型維持こそがファンタジーだろ……







——————————————————

今日さえ終われば、今日さえ終えれば……(現在午前8時

みんなー一週間がんばるぞー!!!!!!


コメ返しできてなくてごめんなさいっ!m(_ _)m

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