第395話 柳流


「鬼火の効果を教えてくれないか?」


 進化するとは言っても、それがどのような攻撃方法なのか、そしてどうやって進化するかでだいぶ変わってくると思うのだ。ほら、使い勝手とかあるだろ?


「はい、鬼火は怪しい炎を灯す。この炎は使用者の魔力量に応じて威力が上昇し、相手を状態異常:やけどにする、と言うものですね。このスキルはこのスキルで倒した敵の数に応じて進化します」


 うむ、強いな。これは間違いなく強いし、使い勝手も相当良いと見た。一瞬でも期待した私が愚かだったようだ。そもそも私は何に期待していたのだろうか? それすらもよく分かっていない。


「やはりー、強いのか?」


「えぇ、もちろんですとも。それにこの鬼火を進化させていけばいずれ閻魔大王が持っているスキルになりますしね」


「なにっ!?」


 それはもう最強スキルですって言っているようなものじゃないか。閻魔の力を獲得した魔王、閻魔王にでもなるつもりなのだろうか? って、彼はこの事実を知らないのか、ならば後はスキルを進化させないことを心のどこかで願うだけだな。


「あ、また閻魔の手下がやってきましたね。って、もう倒しちゃいましたか。早いですね」


 早っ!? え、閻魔の手下ってそんなにサラッと流していい存在だったの? もう秒だよ秒? え!?


「あ、またまたきました、倒しましたね、はい」


 えー!? もはや早いとかそういう次元じゃなくなってるじゃん。もう閻魔を倒すことに対して何の感情も抱かなくなってるよこの人?


「あれ? 閻魔の方から彼を招待するみたいですよ? もう手先を送っても埒があかないから呼びつけてこっちでやろうってことなんですかね? 閻魔と魔王の勝負、見られるかもですね!」


 お、彼女の熱が再発してきたぞ。さっきは何が起きても反応しない、まるで柳みたいだったからな。彼女は感情の起伏が激しいからこそ彼女なのだ。


「遂に対面しますよ! 閻魔と魔王!」


 彼は閻魔の手下によって謁見の間へと連れてこられていた。でも、こうしてみると確かに現状どちらの方が強いのかとても気になるな。閻魔は閻魔で弱いはずがないし、魔王は魔王で彼が負けるところが想像できない。


「なるほど、今から獄界序列一位から四位までと戦って全員に勝てたら閻魔と戦えるってことですね! 彼だけ連戦になりますからそこだけが不平等な気もしますが、まあ彼なら大丈夫でしょう。むしろそのくらいがちょうどいいかもしれません」


 四天王vs魔王か、確かに連戦はキツイがとは言っても彼は魔王だからな、物理的に格が違うだろ。ってかそれなら彼も従魔を出せばいいんじゃないか?


 それならいい感じの勝負になるだろうし、武道の試合みたいに先鋒次鋒みたいな感じで面白そうだ。


「あれ? ごめんなさい私の早とちりでしたね、なんか普通に閻魔出てきましたよ? サシでやるつもりですか? そんな、四天王を相手させてから戦うくらいがちょうどいいのにぃ……」


 え、戦わないの?


 パチン、閻魔が指を鳴らすと彼と閻魔が炎の円に囲まれた。どうやら水を差すなということらしい。


 一対一の勝負、見ものでしかないな。







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うぎゃー皆さんやりたくないことがやらないといけないときにやれるような気持ちの整え方を教えてください

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