第394話 幻想行進


 そんなこんなで閻魔の直属の手下を新調したばかりの斧で撃退した彼はとあるお店の中に入っていた。


「ん、これはファンタジー作品でよく見る奴ですね! ほら水晶に手をかざす奴!」


 ふむ、確かにそうだなこれは魔力を測定する奴だな。他にも石板に手を翳したり、大々的に機械を使って測るのも多いだろう。まあ全部幻想なんだが。


「ん、でも確か彼の魔力は無限だから……」


 パリンッと画面の中の水晶が割れた。ここまでテンプレ通りとは、流石は彼だ。さっきまで無双ゲーをしていただけのことはある。


「お、この水晶は彼の属性も測っていたみたいですね。どうやら彼の属性は呪いのようです!」


「呪い?」


 なんで呪いなんだ? 彼が使っている魔法は……死骸魔術か。そりゃ呪いだわ。


「彼の魔術が死骸魔術だからか?」


「んーそれもありますね。ですが一番の大きな理由は彼が無限魔力をもらった相手によるものでしょう」


「無限魔力をもらった相手?」


「はい。確か彼は帰らずの塔の裏ボスの悪魔を倒して無限魔力を手に入れましたよね? そしてその悪魔は呪いを使っていたはずです」


 あーなるほど。確かにそりゃ呪いだな。呪いを使う人の魔力をもらったんだからそりゃ呪い一色になるわけだ。ならば死骸魔術、当時は死霊魔術だったかもだが、それと属性が一致したのはたまたまと言うわけか。こう言うちょっとしたところの運の良さも彼は抜け目ないよな。


 もしかしたら、呪いと死霊魔術系統では若干属性としては違うかもだが、ネクロマンシーだろ? ほぼ呪いみたいなもんだ。そんなに変わらないだろう。


「あ、ってかここスキルショップじゃないですか! あーなんで気がつかなかったんだろ! ってことはここでも新しいスキルを手に入れるってことですよね? もーどんだけスキルを手に入れれば気が済むんですかねこの人は。もう既に使いきれてないものまで出てきてるでしょうに」


 まあ、それが男の性っていうもんだよな。目の前に新たなスキルがあれば手に入れないと気が済まない、そんな生物なのだ。


「それでどんなスキルを選んだんだ?」


「えーっと、鬼火ですね。鬼火!?」


 彼女は自分で言って自分で驚いていた。ちょっとだけ面白かった。


「どうしたんだ、そんなに強いスキルなのか?」


 名前からしたらそこまで強くなさそうなスキルだが、彼女の反応的に結構強いのだろう。でも、ただの鬼火だろう? そんなに強くなりようがないだろう。


 それにもし仮に強いとしたらもっと彼女の性格的にもっと強そうな名前にするんじゃないのか? せっかく強いのに強そうな名前を付けないのは可哀想だ、とか言いそうなもんだが……


「いや、このスキルメチャクチャやばいですよ。だって、このスキル進化するんですもん。そして私が直々に作ったスキルだから当然そのヤバさも身に染みて知ってます」


「し、進化!?」


 スキルが進化するのか? スキルのレベルや熟練度が上がるならまだしもスキルが進化するのか? それならばさっきの彼女の反応にも納得だな。


 しかもやっぱり彼女自ら手がけていたのか。ん、ってことは一見弱そうに見せかけて実は進化してめちゃくちゃ強くなる、ってことか。なるほど、彼女らしいな。








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基本的にこれからは運営は日曜だけ二話更新で行こうかなと思っております。


皆様からいただいたアイデアで短編を描こうと思っているのですが、短編で何文字くらいがちょうど良いでしょうか?

これはいつも私がぶち当たる問題でして……

今のところ私は10000文字くらいかと踏んでおります、、

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