第392話 鸚鵡返しな先輩
「あーあー彼がとうとう獄界にきてしまいましたねー。一体何をするつもりなんでしょう? 地獄激辛ラーメンだけ食べて帰ってくれませんかねー?」
彼が無事獄界に辿り着いたことを見届けた彼女が不貞腐れたようにそう言った。そんなことより、
「獄界には地獄激辛ラーメンというのがあるのか?」
「え、何私が適当に言ったことに興味持っちゃってるんですか? 無いに決まってるじゃ無いですかー」
不貞腐れているからか、いつもに比べて少し語気が強めだ。まあ、そんな時もあるだろう。こんなことで一々構っていては彼女といい距離感を保つことは到底不可能だ。付かず離れず、それでいいのだ。
「あ、あの獄界序列四位のヴァール、彼を案内すると思っていたらまさかの解散しちゃいましたよ? なんででしょう? 何か用事があったんですかね? あ、でも彼が一人いる方が何をしでかすかわからないような」
まあ、確かに彼は一人の時の方が予想外の動きをする。そして彼は大抵の場合は一人だぞ? 今更案内人がいなくなったくらいで
「あ、絡まれてる」
「絡まれてる?」
「どうやら門番に止められたみたいですね。さっきのヴァールがいれば顔パスだったでしょうに。これで余計な戦死者が出ますね」
戦死者言うな、まだ死んでないどころか戦ってすらいないじゃないか。
「門番は小鬼ですか。そりゃまあ仕事だから止めないといけないのは分かりますけど、相手は一応あっちで魔王やってる人ですよ? 大丈夫ですかね?」
「大丈夫じゃ無いんじゃないか?」
「……大丈夫じゃなかったみたいです。二秒でやられました。ってか、彼も彼で小鬼一匹に対してツァーリボムとか獄界を滅ぼすつもりなんでしょうか? 門番を倒すどころか門とその周辺がなくなってるんですけど!?」
大丈夫じゃなかったかー。まあそりゃそうだよなー。小鬼くんはわからなかったかもだけどあまりにも差が大き過ぎた。
「あっ……そっかそりゃそうですよね、門番と門をぶっ壊したら流石に獄界も黙ってませんよね、今度は獄界騎士団が登場しました」
「獄界騎士団!?」
「まあ地獄の警察みたいなものですよ」
いや、それだけ聞くと物凄い物騒に聞こえるな。地獄の警察って、その名の通り地獄の果てまで犯人を追いかけるのだろうか。検挙命、みたいな鉢巻してそうだな。
「まあ、そりゃこんだけ派手に暴れてるんですから彼と獄界騎士団が戦うのは至極当然なわけで、でもそうですよね、魔王ですもん騎士団じゃ無理ですよねー。せめて王クラスじゃなきゃ話にならないですよねー」
呆気なくやられていく騎士団を横目に、彼女は虚な表情でそう言った。そして、
「騎士団がやられたらそりゃ閻魔大王も動かざるを得ませんよね、はぁ、本当に戦争っぽくなってきましたよ? 最初からこれが狙いだったんですかね? んもー獄界に来てそうそう荒らしすぎですって!」
彼女は酷くご乱心だった。私はそんな彼女を暖かく見守ることしかできなかった。
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なんか一日2話投稿してる運営編。
目標は本編に追いつくこと、ただいまの差は約200話程度。さて、どのくらいで追いつけるのでしょうか??
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