第391話 地獄への切符


「か、カッコいいて……流石先輩ですね」


 いや、それ一ミリも褒めてないだろ、むしろ貶してるだろ。おい、上司をそんな目で見るな。


「まあ、先輩がいいならいいんですよ? 先輩がいいなら、あ」


 いや、それは逆説的にあなたは良いと思ってないってことだろう? 全く失礼極まりないやつだな。そもそも男で厨二病でない奴など、寿司にわさびをつけないと言っているようなものだぞ。


「ん、どうしたんだ?」


「あ、いえ別に大したことじゃないのですが、彼が死骸魔術の召喚で以前召喚してた獄界のモンスターを召喚したんです」


「獄界のモンスターというとあの獄界序列四位のあのモンスターか?」


「おー、そうですそうですよく覚えていましたね。そのモンスターを彼が召喚したんです。何をするつもりなんでしょう? ヘッドハンティングで獄界から引き抜こうとしてるんですかね? そんな横暴なことが許されると思っ……」


 これは確実に不味いことが発生したな。だって彼女の言葉がこんな急に遮られることってまあ無いからな。余程のことが無いと起きないが、その余程のことが発生したのだろう。


「ど、どうしたんだ?」


「い、いやーえ、えーっとですね、彼が、獄界へと足を踏み入れました」


「へ?」


「まさか獄界に行くために獄界のモンスターを召喚するとは……しかも以前戦って勝っていますから彼の言うことを聞くのは自然な流れ、ですか。これはかなり予想外な展開になりましたね」


「ちょっ、ちょっと待て。確か獄界とか天界とかって冥界に属するから普通のプレイヤーはまだ到達できないんじゃなかったか?」


「はい、のプレイヤーならそうですよ、普通ならもちろんそうです。しかしもちろん今獄界に言ったのは彼ですから当然普通じゃありません。確か彼は頂上決定戦で優勝した時に紙のペンダントを受け取っていませんでしたか? つまりはそう言うことです」


「あー、それがパスポートになったと言うことか」


「パスポートとでは無いですけどね、身分も証明しませんし。でもまあそう言うことです。それに天界にもしれっと行ってますしよく考えれば今更ですね。それで問題はまだ普通なら到達できないところに彼が到着しちゃってる、ってことです」


「まあそうだよな、そうなるよな」


「彼が獄界の王、閻魔大王とどのような関係を築くかによってもだいぶ変わってくるんでしょうが、もし何もなかったとしても獄界のスキルや装備は現世とレベルが違いますし、逆に閻魔と良い関係性を持てなくて争っちゃったらもっと大変です」


「ん、それはなんでだ? 良い関係になって獄界の恩恵を最大限受けられる方が不味いだろ」


「それもそうなんですが、閻魔と彼どっちが勝つと思います?」


「あ……」


「そして獄界は圧倒的なまでに実力主義社会です。彼が閻魔を倒した暁には獄界が一から変わってしまうことでしょう」


 な、なんと恐ろしい。彼は獄界にまで手を広めて一体何を、何をしようと言うんだ??










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