第385話 ミミックの味方


「あれ? 彼がいつの間にダンジョン攻略に向かってますよ?」


 私たちが至福のフレンチを堪能しオフィスに戻ってくると、彼はいつも通り平常運転をしていた。彼の一番すごいところはその効率的なプレイングよりもこの稼働時間の長さではないだろうか、と思わんばかりの働きっぷりだな。


 というか彼はいつ寝ているんだろうか。そして我々はいつ寝ることができるのだろうか?


「ダンジョンというのはどこのだ?」


「えーっと名称は欲望と絶望の巣窟、というダンジョンですね。プレイヤーたちに金銀財宝を見せることで射幸心を煽り、そのまま倒してしまうというコンセプトですね」


 おいおい、健全な子供でも遊べるゲームで射幸心とかいう単語を使うなよー。その言葉を使うのは大人だけで十分だ。いや、でも逆に今の子供達はガチャやら何やらで射幸心を煽られているのだろうか?


「金銀財宝を見せると言ったよな? それはどういう仕様なんだ? まさかスクリーンがあるわけでもないだろう?」


「えーなんですかその原始的な方法はー。普通にミミックですよ! 彼らが幻を作り出して、パクッとプレイヤーを食べちゃうんですよ。そうまるでチョウチンアンコウみたいにですね」


 へえー今のミミックはそんなに便利になっているのか。


「あ、彼、魔王勅命を使ってその場にいるミミック全員に言うことを聞かせてしまいましたよ? あぁ、折角みんなでお宝の幻影を見せていたというのに……もう手元には金貨が数枚しか残っていませんよ?」


 いやいやいや、ちょっと待ってくれ。欲望と絶望の巣窟という割にその財宝のほとんどが幻影で実体は金貨数枚って、そんなことあるか? それはあまりにもケチすぎやしないだろうか?


「あぁあぁ、どんどんとミミックたちが滅ぼされていきますよ。未だかつてこんなに可哀想なミミックがいたでしょうか? ものの数秒で全滅って、そりゃまあ彼は魔王ですけどぉ」


 ん、彼女はミミックに思い入れでもあるのか? さっきからミミックに対する気持ちの入り用がいつもとは段違いなのだが。


「はぁ、あっという間にボス戦ですか」


 お、流石にボス部屋はあったようだ。ミミックだけの低予算ダンジョンじゃなくて本当によかったぞ。


「ん、なんだこの財宝は。これもミミックの幻影なのか?」


「あ、気づいちゃいました先輩」


 そう言って彼女はとても残念そうな顔をした。


「流石に欲望と絶望の巣窟と銘打っている以上、ちゃんとクリアした暁にはそれ相応の報酬を用意しなくちゃ、と思うんです」


 うん、それはそうだな。だからお宝がミミックだと知った時には少しがっかりしたぞ?


「だからミミックはそれ自体がフェイクで実はボス部屋にたんまりとお宝は溜め込んであるんです」


 ほうほう?


「それで、ボス戦は戦闘力はそこまで高くなくて、あるカラクリがあってそれが分かれば倒すのは簡単なんですよ」


 うむ、なんとなく話の流れが見えてきたが我慢して彼女の続きを聞こう。


「それで、えーっとなんといいますか。そこにあるお宝、多分売ったら相当な額になると思うんです。だから、その多分彼ここをクリアしたら余裕でスキル買えちゃうんじゃないでしょうか」


「……」


 なるほど、そういうことだったのか。やけにミミックに肩入れしていると思ったら、ミミックに特別な感情があるんじゃなくて彼に対する感情だったというわけか。なるほどそれは確かにミミックを応援したくなる。


「「あ」」


 そして只今、彼がボスを倒し無事莫大なお宝を入手したのであった。


「んもおおおおおおなんですか彼はぁあああああああああ」






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地獄の月曜の朝に少しでも花を添えたくて……(なんてカッコつけてます


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少し恥ずかしいかもなので無理はせずに!因みに私は「無双」「人外」「スキル」「ステータス」とか割と無難な感じでした。最近は全然調べなくなったし読む時間もかなり減ってるな……

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