第386話 公式マグロ認定


「ん、それで結局そのボスのカラクリはなんだったんだ?」


「あ、はい。まあ単純なことなんですが、軽く言えば不死ですね」


「不死!」


「まあ、ちゃんと条件付きなんですけどね。ここのボスはボス部屋にあるお宝の数だけ防御力が上昇する、という仕様になっております。ですので、ボスを倒したご褒美にお宝が貰えると思っていたら決して手にすることができないんです」


 うわ、それはかなり性格が悪いな。最初の宝箱はすぐそばにあって手が届きそうなのに全てミミックで、ボス部屋の宝は本当に手が届くのに、常識的に手を出せないと言う……


 誰だよこんな悪どいシステムを考えたのは……


 チラッと隣を見ると、そこにはどこか悔しそうな顔をした後輩がいた。そうか、彼女からしたら自分の最高のシステムが彼一人の手によって打ち破られてしまったのか、そりゃ悔しいか。


 頑張って建てた家が一夜にして燃えさったら誰でも悲しいだろ?


 でもー、どっちもどっちだな。こんなものを作る彼女も、これを一発クリアしてしまう彼も。ボス部屋にある財宝をボス倒さずに持ち出そうとする魂胆、一般人には中々ないものだろうよ。


「あ、彼たんまり獲得したお宝を換金しましたよ? 一体いくらいになるんでしょうね? まあ確実にスキルを買える値段にはなっているでしょうから、はぁ、彼は動き続けないと死んじゃうマグロみたいな感じで強くなり続けないと死んじゃうんですかね?」


 彼の強さに対する執念というか執着というか、とにかく凄まじいものがあるよな。その執念だけなら他のプレイヤーでも持っている人は大勢いるのだろうが、その中でしっかりと着実に強くなっているというのも異常だ。


 普通はそんな強くなりたいと思っただけで強くなれるものではないからな。もし願っただけで叶う世界なら誰も苦労しない。せめてゲームの世界くらいならそうあってくれよと思うのだが、世知辛い世の中になってしまったようだ。


「あ、スキルショップに彼が着いちゃいましたよ! って、ん、え、え!? ちょっと待ってくださいこれはどういうことですか?」


 うん、一旦君が落ち着こうか。ちょっと最近君取り乱す頻度増えてきていないかい? 大丈夫かい? おじさんはただただ心配だよ。


「な、なんかよく分からないんですが」


 うーん、君がよく分からなかったここの皆誰も何もわからないんじゃないかな? 頑張って頭を絞って欲しい。


「まず彼は無事? HP高速回復のスキルを購入することができたようです。できたようなんですが、どうやら値段が五千万というのはどうやらその爺さんなりの洒落だったみたいで……」


「は、洒落??」


「はい。それなら差額を返金しろよって思いますが、それは嫌とのことでオマケにスキルを彼に渡したそうです」


 ん、ん? 確かによく分からないことが起きちゃっているな。だって洒落でいった金額なんだろう? そしてそれを彼が用意したら返金したくないからオマケでスキルあげるってことか? 新手の詐欺か何かかな?


 値引きの逆バージョンみたいなことになっているのか。全く、彼と関わったらNPCのアルゴリズムが狂うのか?


「それで彼がゲットしたスキルが鴉狼一夜というなんともカッコ良さそうで強そうなスキルなんです……!」


 は、はぁ。もう彼は公式にマグロ認定してもいいんじゃないだろうか?







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出社前に謎に2話描き終えてしまいました……

というわけで唐突に運営編が二話投稿です!

ただ、本編がどうなるのかは私にも分からない……

投稿したいなー出社はしたくないなーとりあえずシャワー浴びてきます。コメント返せてるかな??


皆さんが好きなコンボを教えてください。私は、休日と二度寝でエントリーします(今と対極

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