第382話 小さくて大きな差異


「もー、あっという間でしたねー。まさか従魔を使うとは思いませんでしたよ! まあ、そのおかげでこの土地が更地にならずに済んだともいえますが……」


 彼は従魔たちを総動員させることで圧倒的火力を叩き出し、一瞬にして蜂の巣を壊滅させてしまった。そもそもビーホークというただの蜂とは比べ物にならない強さを誇るモンスターなのだ。それを造作もなく潰すとは本当に改めて魔王軍の恐ろしさを体感させられるな。


 しかも、ビーホークの巣にはナイトビーホークと言う、女王を守る護衛たちがいる。彼らはビーホークの中でも一際強いのだが、当然魔王軍の前には為す術がなかったようだ。


 まあ、そもそも蜂の巣は一つの巨大な家族とも言えるだろうが、その巨大な家族が軍に勝てるわけがないのだろう。もはや蜂たちが可哀想だった。


「あ、ギルドに戻りましたよ! これは倒したら倒した分だけ報酬が上乗せされる、と言う依頼でしたらから、さてどのくらいいくでしょうね?」


 確かに気になるところではあるな。目標金額に達しなければ彼はずっと依頼をこなしてくれるわけだからな。依頼を受けてくれてる間は彼自体の強化は止まるだろう。


「あ、でも意外と五百万ですね。もっといくかとも思いましたが、まあ妥当っちゃ妥当ですね


 うむ、妥当だ。いや、むしろとても羽振りが良いように思えるぞ? そもそも彼の目標金額が大きすぎるせいで五百万すら小さく感じているが、冷静に相当な金額だぞ? 強い武器がどれだけ買えると思っている。


 それに、現実世界で考えると一日で五百万ってもう恐ろしい世界だぞ?


「んーでもこれじゃあ全然足りませんね。彼はどうするつもりなんでしょう? あ! え? 物凄い数の依頼を同時に受けていますよ? これはどう言うことなんですか? まとめてクリアするってことなんですか? そんなのアリでしたっけ?」


 んーどちらかと言えば無しだったような気がするが、彼が受けられていると言うことはアリなのだろう。


「基本的には一つずつしか受けられないと思うが、彼の実力があれば複数受注も可能と言うことだろう。ま、ギルドとしても多くの依頼を受けてくれた方が利益が出るのだから、大丈夫と分かればいいんじゃないか?」


「そういうものですかねー?」


 彼女はどこか不服そうだったが、表立って反論してこないということは納得せざるを得ない、ということだろう。まあ、私としてもアリなの? 感は拭えていないのだが。


 大人になると現実を都合の良いように解釈する能力だけ上がって本当に困るな。


「は!? ちょっと待ってくださいこれは流石にナシですよ先輩! 今受けた複数の依頼を従魔たちに完全に任せちゃってます! これはもうアウトでしょ!」


「従魔に任せる!?」


 そ、そんなことが可能なのか? 複数受注だけでも前例がないのに、従魔に任せるだなんて、本当にそんなのありか?


 いや、まあ確かに従魔に戦闘の一部を任せる、ってことはよくある話だろう、ってかそれが本来の役目なのだろう。が、が、依頼を分担するっていうのは違くないか?


 ……本当に違うのか?


 彼からしたらどちらも一緒だとしたら? 彼には念話があるから遠くにいても安否が分かり、それ以前に心配する必要のないくらい強かったとしたら?


 もしかしたら違わないのかもしれない。


「は!? もう終わりましたよ!? ちょ、これは流石にナーフした方がいいのでは?」


 やっぱり違う。







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何を書けばいいのか本当に分からないので乞食します。

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