第383話 従魔の自由性


「ナーフ、とは言ってもなぁー」


 これは別に技があまりに強すぎるとか、そう言った何か特定の事象がチートすぎるといった類のものではない。むしろそれとは逆に、あらゆることが偶然に重なり合ってできた産物だ。


 従魔が自由行動できなければ、ギルドが複数受注を認めなければ、今回の事件は起きなかった。まあ、いわゆるコンボで強い、と言う感じだな


 つまり、ナーフしろと言っても何をどうすれば良いのか、と言う問題になる。まあ、彼は魔王で彼しかできない荒技だ。我々運営が直接監視していることだし別にナーフするほどのことではないだろう。


「いや、別にナーフする必要がないことくらい分かってますよ?」


 彼女は私の心を読んでいるかのようにそう発言した。彼女は時に、こういったエスパーめいたことをしてくるから本当にタチが悪い。いや、天才と言うべきか?


「まあナーフどうのこうのって言うのはただの感情論なんですが、それにしても彼の従魔はあまりに自由度が高すぎませんか? 他のテイマーやサモナーにはこういう傾向は見られないのですが、何か原因はあるのでしょうか?」


 ふむ、確かに言われてみればそうだな。今回も従魔の自由度が高すぎることが事の発端の一つではあるな。


「彼の従魔は自分たちで強くなったり、スキルを獲得したりすらするんですよ? これはちょっとやりすぎじゃないですか?」


 うむ、確かにここまでくると一考の余地はあるかもしれないな。彼の従魔の特異性についてか。


「こう言うのはどうだろうか。彼の場合は魔王城があり、そこに基本的に従魔が野放しにされている。従魔が一人でいる時間が長いことによってそういった独自の自由性が備わっているのかもしれない」


「なるほど、それは確かに一理あるかもしれませんね。基本的にテイマーにしろサモナーにしろ必要のない時は戻しておくとが多いですもんね。そっちの方がリスクも少ないですし。逆に随時召喚し続けるパターンの人は愛情がたっぷりで一緒にいる時間が長くなってしまいます。結果的に主人が命令を出して動くという機会が増えて、自分で考えて行動する時間というのは無くなってしまいます」


 彼女はやはり優秀だな。こういうところで一を言えば十返ってくるからな。たまに十一、十二が返ってくることもあるから恐ろしい所だ。


「従魔が一人でいる時間、ですかー。確かにその視点は考えたことが無かったですね。普通、そんな状態はあり得ないことですもんね。彼は一体どこまで考えているのでしょう?」


「そうだな、本当に恐ろしいというかなんというか。あと、もう一つ。これは自由性ではなく自己強化性の方なんだが、彼の従魔が多いことに起因しているのではないだろうか。まあ単純な話だが、従魔が数多くいて皆が主人の役に立ちたいと思っていれば自然と競争が発生する。それも、相手を蹴落としてやろうというような醜いものではなく、自分がより高みへと登りたいという健全なものが、それらも良いように作用しているのかもしれない」


「あーそれは絶対にありますね。彼は従魔にご褒美とかちゃんとあげるタイプですし、従魔からしたら褒められることそのものがご褒美みたいなもんですからね。しかも、従魔は主人の影響を色濃く受けますから、皆戦闘狂でしょう? 全く困ったものですね」


 まさか、彼の従魔でここまで話が広がるとは思っていなかったのだが、考えて見れば見るほど興味深いな。


 テイマーサモナーは特殊な職業でどうしても型にハマってしまうことが多い。だからこそ本職でない彼の方が自由な育成を可能にしているのかもしれないな。


「あ、彼が帰ってきましたよ! えーっと合計の報酬金は……千二百万!?」


 やっぱりこれはダメだぁ。







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セリフで長い文章は読者の皆様視点でどうでしょう?

読みにくいですか?もし読みにくいという意見があれば今後気をつけて参ります。

ただ、説明させようとするとすぐに長くなってしまいます……


運営編お後書きはよりコアに小説寄りの内容にしていきたいと思います!

というわけで、今回はあなたが小説に求めること(複数可)でお願いします!

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