第381話 魔王の人間味


『うがぁあああああああ!!』


 私たちはただ今、彼がカジノで大負けする様を見ていた、いや見せられていた、というべきだろうか。


 彼は五千万には届かないものの、そこそこの資金を使って、しかも彼のスキルである叡智啓蒙まで使って全力でカジノに臨んでいたようだが、どれも失敗に終わっていた。


 側から見ていた感想だが、彼はギャンブルには向いていないように思う。まず、圧倒的に運が悪いというのに加え、たまに拾える勝ちを更なる倍プッシュで全て帳消しにしてしまう。


 LUKとINTが絶望的に足りないのだ。……まあ、ギャンブルに関しては、だが。


 それにしても彼にも人間らしい一面があるんだな。彼は最適行動しかとらない、とばかり思っていたのだが、まさかカジノもするとはな。カジノを含めギャンブルは絶対に親元が勝つように設計されている。


 当然彼はそれを知っていると思ったのだが、もしかして知らないのだろうか? いや、知っていて勝てるかも、と思ったのか?


 どちらにせよ今までの彼らしくないことは事実だ。今までのプレイスタイルで博打をする瞬間なんてなかったと思うからな。珍しいとうか、なんというか、見たくなかった側面ではあるな。


「あ、彼ついにお金無くなっちゃいましたね。どうするんでしょう、お金を借りてまで続けると思いますか?」


「いや、流石にないと思うぞ? ないと信じたい……」


「にしてもこの短時間であれだけあった金を全部溶かしてしまうなんて、彼には別の才能があるのかも知れません」


 いやーそれは才能じゃないんじゃないか? 仮に才能だとしても確実にマイナスに働いてしまってるじゃないか。それに、その才能を持った人なんてこの世に五万といるぞ? レアリティがないぞ、レアリティが。


「あ、どうやら彼は暗殺ギルドで依頼をこなしまっとうにお金を稼ぐみたいですよ! 最初からこうしておけばもっと楽でしたでしょうに……」


 まあ、いかに彼といえども毎回最適な行動をとるわけではない、ということだな。さっきも言ったがより人間味が溢れててこっちの方がいいではないか。


「それで、なんというモンスターを狩りにいくんだ?」


「どうやらビーホークの巣の解体、という依頼を受けるようですね。これは巣の解体ということもあってか、モンスターの難易度に比べると比較的報酬金が高く設定されております。……ここではしっかりと合理的に依頼を選択できるんですね」


 た、確かに。それだけカジノ、ギャンブルが持つ魔力が強力というわけか。彼すらも呑み込んでしまうとは、この世で一番強いのはギャンブルかもしれない。


「しかも、ビーホークを倒せば倒すほど報酬も上乗せされるみたいですよ! ん、ってことは彼、暴れ散らかすんじゃないですか? これは少し大変なことになるかもですね、色んな意味で」


 あぁ、それはまず間違いないだろうな。なんせ彼が本格的に暴れたら蜂の巣どころか普通に街が、国が消えるだろうからな。ギャンブルで負けたとはいえほどほどにしておいて欲しいものだ。


 ❇︎


「あ、もう蜂の巣を解体しちゃったみたいです……」


「もう!?!?!?」


 それは私がトイレに立って戻ってきた時のことだった。






——————————————————

今日は家具を取りにいきます!(多分


皆様が好きな家具はなんですか?私は、、、ベッドか棚?

家具に好きもクソもないような……

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