第373話 米田


「あれ? 彼の宴会終わったと思ってたんですが、なんか始めてますよ? 魔王軍序列決定戦?」


 なんだそのこの世の男子がワクワクしそうな名前は! 私も男子とは呼べないとしても男の気持ちは忘れていないつもりだ。


「というわけでとても気になる。なんだそれは?」


「はい? 何がというわけでかは知りませんがこれはどうやらあの宴会で起こった仲間割れの続きのようです」


「仲間割れの続き?」


 仲間割れに続きもクソもあるのか? 仲間割れはするかしないかだろう、なんでそれが続くのか? あ、もしかして連鎖的に仲間割れし続けているとか?


「……先輩が何を考えているかは知りませんが、多分違うと思いますよ? そもそも私たちが仲間割れだと思っていたもの自体違っていたのですから」


「ち、違っていた? 何が」


「あの仲間割れだと思っていたのは実はそうじゃなくて、どうやら従魔達の模擬戦だったようです」


「模擬戦?」


「はい。戦いたくてうずうずしていた従魔たちがご主人様の寝落ちをきっかけにはっちゃけちゃったみたいです。しかもその戦いが思ったよりも高レベルで、側から見た私たちには仲間割れに見えたようなんです」


 なんだその傍迷惑な話は。そんな荒くれ者集団なのか、魔王軍団は。あーでもそういえば従魔はテイムしたプレイヤーの影響を色濃く受けるって話だっけか? なら仕方がないか。


「それで今は誰と誰が戦っているんだ?」


「えーっと今はですね、タツノオトシゴが進化したモンスターとマグマ人間ですね!」


 ん、それだけ聞くととってもカオスな状況しか思い浮かばないんだが。まあでも、そうやって表現しないといけないというのも分かるな。


「あ、終わっちゃいました」


「え?」


 ちょっと早すぎやしないか? これはあれだろ、どうせ作者が戦闘描写を書くのを面倒臭がっただけだろ。今の流れは絶対に二人の戦いが実況される流れだったはずだ。


「いやー、でもこれ相当な規模感でやってますよ? 宴会場もボロボロになってますし。我々で特別な宴会場を用意して正解でしたね!」


 いや、ツッコミどころはそこじゃないだろう。でも確かに、もし宴会場を魔王城とかにしてたらどうしてたんだろうな。彼が自力で修復させるか、そもそもそんな被害が出ないようにするのだろうか?


「でも、彼も面白いことを考えますよね! 従魔同士で戦わせたらそれこそ本当に仲間割れするかも知れないのに……」


 それもそうだな。でもそれ以上にどの従魔がどれくらい強くて、誰が一番強いのかをはっきりさせたかったのかも知れない。ってか、そういうの男の子が大好きだしな。


「また結果が出たら教えてくれ、ちょっとお腹が空いてきた」


「えーまた行くんですか? 折角ならみていけばいいのにー」


 仕方がないだろう。急にお腹が空いてしまったのだから。


 はっ……もしかしてこれも??

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