第369話 迷夢、大海を呑む


「せせせ、先輩! 遂に天魔大戦が始まろうとしてますよ! だだっ広い荒野に彼とその仲間達が待ち構えてます、これが所謂、全面戦争、て奴ですね!」


 おいおいテンションが爆上がりしてるじゃないか。私としては今からまた彼がやらかすことを考えると気が気でないというか、なんというか……


「む、それより今回の天魔大戦に隠し職業に就いたプレイヤーたちは参加するのか?」


「それよりってなんですかー。私としては彼がどんな活躍をするのか見れる貴重な機会なんですからね?」


 ん、そんなに彼に肩入れしてたのか? 最初は彼に憤慨していた印象しか無かったのだが、これがもしかして単純接触の効果か?


「まあ、隠し職業のプレイヤー達はまだ流石に参加は出来ないでしょうね。まだ職業に就いて間もないでしょうし、戦い方が定まっていないはずです。早くても次、いやその次くらいからじゃないでしょうか、彼らがイベントに参加するのは」


 はず、ってなんだよはずって。でもまあ、それもそうだな、転職して直ぐに強くなって頭角を表したらそれこそがチート職業であるという何よりの証明になってしまうからな。どんな職業においても試行錯誤する期間と、慣れる期間は必要だろうからな。


「そういえば、に選ばれたプレイヤーはどうなったんだ? 確か三人くらいいなかったか? 魚人が多かった印象だが」


「え、先輩もう忘れちゃったんですか? 魚人二人とただの人間一人ですよ!」


 いやいや魚人ならまだしも、ただの人間はちょっと酷いだろ。せめてほら、なんかあるだろなんか。それこそ根性はあったはずだ、多分。


「んーでも思ったほどパッとしないんですよね。彼らはこの三日間ずっと水中エリアでの戦闘を命じられたのですが、その結果逃亡系スキルや危険察知スキルが入手した程度ですね。彼にしてはかなり逃げ腰なスキルです。これらのスキルがこの対戦で何か重要になってくるのでしょうか?」


 ふむ、逃亡系スキルと危険察知スキルか。確かに持っておいて損はないスキルだが、パッとしないな。彼はそんなスキルを手に入れさせる為にずっと水中で訓練させていたのか? それだと流石にコスパが悪すぎると思うのだが。


 でもまあ、彼なりの考えがあるのだろう。彼女が言ったようにそれらのスキルが使えるか、あるいは水中で戦うことそれ自体に意味があったのか、だろうな。


「なあ、もしや戦場が海に飲まれる、なんてことはないだろうな?」


「ふぁっ!? う、海に飲まれる、ですか!? そ、それは考えても見なかったですね。でも確かにそれならばこんなにコスパの悪い訓練、そして選別方法にも頷けますよ! ん、でも彼にそんなスキルありましたっけ?」


「……」


「仮にあったとしても、室内ならまだしもこの荒野全てを飲み込むには相当な水量が必要ですよ? それこそ海がまるまる一つ以上は必要でしょう。いくら彼の魔力が無限とは言っても流石に無理がありますよね?」


「……」


「先輩、もうちょっと考えてから発言していただけると助かります」


 まさか後輩に発言についてとやかく言われるようになるとは思わなかった。でも、やっぱり戦場を海で飲み込む、は無理があったか。冷静に考えてみると誰でも分かる結論だな。悪くない思いつきだとは思ったんだが……


 また今度リベンジさせてもらおう。そんな機会があるかは分からないが。


「あ、動き始めましたよっ!!」


 おっと、どうやらそうこうしている間に天魔大戦の方が始まったようだ。さて、彼はどう出る?









——————————————————

お待たせしました、お待たせしすぎたのかもしれません。(言いたいだけ

久しぶりにこんなに休んだ、いやサボりましたね……


無駄な自分語りをしない内に今日の議題といきましょう。

本日は作者のリアルの仕事について、です。

仕事に追われている中で、皆さんは私のことをどういう風に思っているか気になりました。どうぞよろしくお願いします。

もちろん正解しても教えませんし、プレゼントもありません。

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