第368話 バチ当たり
「あ、そういえば殺曲家って別に自分で作った歌を自分で歌う必要は無いんです!」
「む、それは自分が作った歌を他人に歌わせることができるってことか?」
もしそれが可能ならとにかくパーティを組んで味方に歌わせまくったら超最強パーティが完成してしまうんじゃないか?
「あ、いえ別にそういうことではなくてですね、歌うんじゃなくて演奏しても良いってことなんです」
あぁ、なるほどそっちか。確かに、作曲家が必ずしも自分で歌う必要は無いもんな。歌わなくても演奏すればいいし、演奏しなくても誰かに歌わせたり演奏させたりすればいいだけだもんな。
「ん、でもそれが何だと言うんだ? どちらにせよ歌うか演奏しないといけないんだろう? さして大差がないように思えるんだが?」
「んもー察しが悪いですねー。攻撃しながら演奏できる画期的な武器があるじゃないですか!」
「演奏しながら攻撃できる武器? そんなものあったか?」
「ほらあるじゃないですか! 殴りながらビートを刻める素晴らしい楽器が!」
殴りながらビートを刻む?
「もしかして太鼓のことを言ってるのか?」
「そうですよー! 太鼓も演奏に入るでしょう? ってことはあのメロディーを作曲している方がいらっしゃるわけで、太鼓って別に太鼓を叩くだけが全てじゃないでしょう?」
いや、太鼓は太鼓を叩かないとダメだろ。なんで別のものも叩いていいんだよ。いや、バチどうしを鳴らすくらいならあるだろうけど、流石に……
「もしかして、今まで太鼓を見る度にあれを打撃武器だと考えていたのか?」
「え、そうですけど?」
何それがさも当然かのように言ってるんだこの子は。いや、後輩に常識を求めることの方が無理あることだとは言ってもだな。
流石に、私の非常識すら超えてきた。
「まあ、和太鼓のバチは刺突攻撃もいけますけどねー。マーチとかで使われるおっきな太鼓は完全に打撃ですよね! あのバチはもはやハンマーです!」
いやいや、そんなことないだろ。ってか、今まで太鼓を、バチをそんな目で見てたのか……
「だから、太鼓の楽譜を作ってそれを敵の体で演奏すればいいんですよ! そしたら打撃に加えて追加効果も狙えるなんて最高ですよね?」
彼女の最高は一体どこにあるのだろうか? 最も高いと書いて最高だぞ? いやまあ、全部同じ位置にあるのならしかたないか。
「でも太鼓だけで、じゃなくて打撃音だけで演奏になるのか? もはやただの物音というか物騒な音にしかならない気がするんだが」
アレは太鼓だからいいんだろう? 人やモンスターの体で綺麗な音がなるとは決して思えないのだが。
「いや、それはほらアレじゃ無いですか?」
「アレ?」
「はい、ほら最悪自分で歌えばいいんですよ! その為の作曲家ですし!」
いやいや、最悪って言っちゃってるじゃん。ってか、作曲家の字も間違ってるし、こりゃ、太鼓って言ってた奴もふざけてたな?
「あ! 殺曲家のプレイヤーが演奏する楽器を選びましたよ!」
話題を変えやがったな。まあいい。というかそれよりも殺曲家のプレイヤーが自分で歌うという選択を取らなかったことが意外だな。普通にその可能性も全然あったと思うのだが。
「それで何の楽器を選んだんだ?」
「えーっと……フルート、ですね」
ド本命じゃねーか!
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何とか間に合ったー!笑笑
ということで今回は皆さんが好きな楽器を教えて下さいな!私はピッコロとファゴットです!(今回は珍しく大本命じゃないです!
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