第367話 天魔大戦の裏で


「あ、帰っちゃいましたね、ヴァールさん。これでひとまずは彼が閻魔様を倒すまでの間はヴァールさんは仲間にならないということでよかったですね」


 まあ、それもどうせ時間の問題なんだろうがな。


「それより、いつからヴァールをさん付けして呼んでいるんだ?」


 私にはさん付けで読んだことなど一度もないだろうに。まあ、どうせ理由なんてないんだろうが。


「え、なんでかってですか? んー、特に理由はないですよ?」


 ほらな、どうせ無いと思ったぞ全く。こんなどうでも良いこと聞いた私が悪かったな。そんなことよりももうそろそろ天魔大戦が始まるんじゃ


「強いて言えばカッコよくて年上の雰囲気があったからですかね? あ、もしかして先輩もさん付けされたいんですか? 先輩さん!」


 ピキッ、と私の青筋が浮かび上がればかっこいいのかもしれないが、私も老けてしまったのかそんなことでは怒る気にもなれない。ただ、年上でかっこいい雰囲気があったからさん付けということは、カッコよくない、もしくは私は年上と思われてないのどちらかになるな。


 んー、どちらも嫌だが、後者の方がより嫌だな。うん。カッコよくないの百も承知だ。


「あ、もうすぐ天魔大戦が始まるっていうのに我関せずと隠しジョブを見つけてる人がいますよ??」


「ん、あぁ天魔大戦が、え? 隠しジョブ?」


「はい! 今回の職業は殺曲家ですね!」


「ん、作曲家だって?」


 曲を作るのか? 隠しジョブって強いっていうコンセプトじゃなかったか? 作曲家が強いとはどうしても思えないんだが? 良くて自分で好きな曲を作ってバフをかける、くらいじゃないか?


「あ、その顔は普通の作曲家って思ってますね? そうじゃなくて殺す曲の家って書いて殺曲家、ですよ!」


「殺曲家? 殺す曲を作るのか?」


「はい! まあ、正確にはちゃんとシステムがあって、自分が望む効果を決めると自動的にその難易度にあった曲を作ってくれるんです」


「ほほう、それで曲を聞いただけダメージを与えたり眠らせたり、殺せたりするってことだな?」


「はい! そういうことですね!」


 おいおい、そんなのチート過ぎやしないか? 聞いただけで死ぬなんてことになれば耳栓をする以外に防ぐ方法はないし、これはかなりの凶悪な職業になってしまうんじゃないか? それに音は結構な広範囲まで届く、つまりは対多数に向けて相当な効果があるってことだ。


 ……これはちょっとやりすぎなんじゃないか?


「これはちょっとやりすぎなんじゃないか? って思いましたよね? でも安心してください、この職業はそんな便利なものではないんです。そもそも人を殺す曲って相当長いし複雑な音ですよね? それを敵の前で悠長に歌ってたら歌い終わる前に百回は殺されますよ?」


 ふむ、確かにそうだな。


「逆に、相手をつまづかせる曲を作っていつでも使えるようにしておいていざって時に発動してトドメを刺す、みたいな使い方の方がいいのかもしれません。まあ何が言いたいかと言いますと要は使い方なんですよ! 音はどこにでも届いてしまうからこそ味方がいたら、その兼ね合いとかもありますし、一概にぶっ壊れ、というほどの性能はないんです」


「なるほど、確かに説明されてみれば納得できるな」


 ということは逆に説明されていない状態、つまり初見でうまく立ち回ることができれば相手からしたらぶっ壊れと思わせられるかもしれない性能、というわけだ。


 問題はどんなプレイヤーがこの職業を手に入れたかだが……







——————————————————

よしよし、調子がいいぞ!

この調子で毎日投稿頑張るのだ!!


隠しジョブ編はこんな感じで隙を見てちょこちょこ出していきますので、お楽しみに!


皆さんの好きな色を教えてくださいな♪

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