第362話 危険な流れ


 サタニストの登場によって少しずつ彼に対抗できそうな兆しが見えそうにはなってきたが、彼もまたより強大になろうとしていた。


「おい、そろそろ彼の方は見なくていいのか? 確か魔王城にプレイヤーが集まってきて、台本を渡したんだったろう? そこからどうなったんだ?」


「あ、これはこれは完全に忘れておりましたね、申し訳ないです」


 い、いやーまあ別に謝ることでもないんだけどな? 私自身気になるのもそうだが、一応プレイヤー全体を巻き込んだ大きなイベントになるんだろう? しっかりと気を張っているべきだろう。


「あの後のことなんですが、どうやら彼はプレイヤーの選別を行なった様です」


「選別?」


 戦いには数は大きな武器となるんじゃないか? 確かに質も大事になってくるとは思うが、だからと言って量を捨てる必要はないと思うのだが。それに、量を集めれば必然的に質が良いものも紛れ込んでくるはずだ。


 それでも選別をするということは何か狙いがあるのだろうか、それとも何かを懸念してのことなのか。確かに数が多くなると管理が大変になるという側面もあるからな。そんなところを懸念したのかもしれない。


「それで、どんな選別をしたんだ?」


「それが……台本で軽い試験を設けてください、と書いたんですが、彼、なんと魔王城の第二層に到達できたものだけをクリアとする、って言ったんです!」


「な、魔王城の第二層まで自力で到達する!?」


 ってことは、第一層を突破しないといけないんだよな? 第一層はアレだろ? あの龍が住まう水中エリアだ。そこには龍だけではなく、鮫などの普通に強いモンスターもいる。そんな中不慣れな水中を泳いでボスを突破しないといけない。


 恐らくボスを倒せというのは無茶すぎるだろうから、ボスは居ないか、いても倒さずに通り抜けさえすれば良い、はずだ。もしそうでなければ合格者がゼロになってしまう。


「そ、そんな無茶苦茶な試験をして彼はどうするつもりなんだ? 一人もプレイヤーが味方してくれなくなったらどうするっていうだ」


「恐らく、ですが、彼はプレイヤーの助けなど要らないと思っているんではないでしょうか?」


「なっ!?」


「少なくとも自分が認める強さでなければ必要ないのでしょう。そして、それ以外の全プレイヤーが自分に立ち向かって来てもそれを全てねじ伏せることができる。彼はそう言っているのでしょう。これは、なかなかになかなかですね」


 いや、もはや何を言ってるのか分からないんだが?


 でも、確かにこれはそういうことなのだろう。これは、このままではプレイヤーは魔王側を選択したにも関わらず、参加させてもらえず、更に負けてしまうというただの負けイベントになってしまう。そして、彼にはその絶対的自信があるという絶望的な状態。


 この状況からなんとか逆転の一手を見出さねば……燃えるぞ?


「おい、大至急会議を開くぞ」


「は、はいっ!」







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きょ、今日は皆様の好きな飲み物で一つお願いします。

自分の好きな飲み物についてアツいプレゼンをお待ちしております!


私は水ですね。全ての根源である水を摂取することで、任意の対象の尿意を加速させることができるという、恐ろしい飲み物です。


さあ、これを越えられるでしょうか?

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