第357話 敬意を払うふりして経緯を話す


「では、まず協議を重ねた結果、私たちの仮決定になったことを伝えますね」


 後輩は私にそう言った。そして、それはシナリオ作りをすると言ってから一時間も経ってなかった。恐らく、もう粗方構想はあって、それを形に落とし込んだだけなのだろう。


 それに、後輩の顔にも建前で仮決定とは言ってますけど、ダメなところがあるはずない、みたいな顔してるぞ? ま、自信があることはいいことだからな。しっかりと聞いてやらねば。


「まず大まかなコンセプトとしましては、強力な職業への転職クエストになります。この職業は一人しか獲得できないものとなりますので、これからはユニーク職業とさせてもらいますね」


 ユニーク職業か。一人しか獲得できない、となればそれを獲得した人は大いに喜び、そして多くの嫉妬を買うことになるだろう、そこの塩梅をどうするかだが……


「その特性上、ユニーク職業の数は多くて百程度にしようと考えております。まあ、すぐに全て発見される訳でもないので、様子を見つつ実装していきたいと考えております」


 百人か。これが多いのか少ないのかは分からないな。だが、間違いなく言えるのはこれを手にした人がこれからのNSOを引っ張っていくということだな。


「そして、その栄光を手にするプレイヤーですが、私が考えているのは先ほども言った通り、やはり運の要素を大きめにしたいと思っております。もちろん、最低限の実力を備えた上で、ですが、その上で観察力、まあこれも運みたいなものですが、それらが必要となるようにしたいと思っております」


「観察力か、確かに運と近いしいものがあるかもしれないな。だが、具体的にどうするんだ?」


「そうですね、まあこれはあくまで一つの例ですが、どこかのボスを倒したらその先に道が繋がっていて、裏ボスがいた。みたいな感じですかね。これだと裏道を見つける力と、裏ボスを倒す能力が必要になりますからね、いいんじゃないでしょうか?」


「なるほど、でも一人で複数個見つけてしまう猛者なんてのも出てくるんじゃないか? 確実に観察力の高い人はいるだろうし」


「もちろん、それに対する策も考えていますよ? ユニーク職業についた方は第二職業禁止、そして転職不可となってるんです!」


「な、転職不可、だと?」


 いやまあ強力な職業であるから第二職業が禁止であるのは頷けるのだが、転職不可というのはどうなんだ? いや、というかユニーク職業についたプレイヤーは転職したいだなんて思わないんじゃないか?


「ふふ、先輩もしかして甘い、なんて思ってます? でも、それは転職してすぐのことを考えていますよね? それが何ヶ月、何年と続いたらどうでしょうか? 転職、第二職業がないということは永遠にその職業ということです。停滞は退化と一緒ですから、その人は自分に定められた枠に絶望することとなるでしょう」


「お、おう。そうか」


 なんて恐ろしいことを考えているんだこの子は……


「ま、それ以上に莫大な恩恵があるでしょうし、飽きない人もいるでしょうし、何より何年もこのゲームが続くかどうかも分かりませんからねー」


 なんて、こともいう始末。だが、ここまでしっかりと練られているのであれば私が止める必要もないだろう。


「よし、分かった。では好きにやってみろ。ただし最初から飛ばしすぎるなよ?」


「はい! 先輩ならそう言ってくださると思って既にもう五つの転職クエストを実装しております!」


 おい、それはちょっと違うだろう。









——————————————————

これからは主人公以外のプレイヤーも観察していくことになりそうですね!


ですが、主人公の動向も引き続き観察しますのでご安心を!


ということで、どんな職業を出して欲しいか、職業ですのでそれを踏まえて大胆なご応募お待ちしております!!


もしかしたら本編にも登場するかもですね!


採用者には称号もご用意しましょうかね??

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