第355話 緊急連絡通路

355話 


「はぁ、彼は一体何をしているんでしょうね? 堕天使達と戦った後に、結局ほぼ全ての従魔と模擬戦してるじゃないですか! そんなに模擬戦したい野郎だったんですか、彼は??」


 うーむ、まあ戦うことが好きな人種は一定以上いるだろうからなー。まあ、自分の戦闘欲求を満たしたいが為に従魔を育てる、と言うのは中々珍しいとは思うが。


「あ、あれ? 彼の動向ばかりに目を向けていたら大変なことになってますよ!?」


「大変なこと?」


 彼の動向に目を向けていた、と言うことは彼が大変なことを起こしているわけではないんだろう? 彼以外で大変なことを起こせる人が中々思い当たらないのだが、一体何があったんだろう?


「ほら、見てくださいよこれ! 魔王城の前にものすごい量の人だかりができてますよ! これ、もしかして天魔大戦で魔王軍に就きたい人たちじゃないですか!?」


「なに!?」


 天魔大戦、すっかり忘れてたぞ。彼があまりにも模擬戦ばかりするから、案外平和でゆったりとした時間が流れていたのに……


 そうか、彼は天魔大戦に向けて従魔を強化する為に模擬戦を行っていたんだな。てっきり、戦いたいから戦っているのだとばかり思っていたぞ。


 それにしてもこれだけの量が集まるって魔王様も相当人気があるようだな。ん、ん??


「おい、ってことは魔王である彼がプレイヤーと接触するってことだよな? もしそうなら少々不味くはないだろうか」


「え、不味いって何がですか?」


「ほ、ほら、身バレとかそう言う危険性はないのか? 彼は今までは普通のプレイヤーだったろ? 普通に顔を見られているかもしれないし、何なら過去に一度イベントにも出場している。顔を覚えている、までは行かなくても、見覚えがある、程度ならアーカイブを振り返ってみられる可能性があるんじゃないか?」


「せ、先輩……」


 え、どうした? 私何か変なこと言ったか? それともただの杞憂でもうすでに後輩が手を打っているとかそう言うことか??


「ナイスですよ先輩! 完全に失念してました! 確かに彼の身元がバレるのはよろしくないですね! 至急彼に連絡しなければ! あ、そうだ、こんな時の為に用意していたあの魔王城緊急連絡通路を使いましょう!」


 おいおいなんだそれは! そんなものを用意してたのか? ってか、こんな時の為ってどんな時だよ。そんな場合を想像して彼女は生きてるのか? 


 その癖して彼の身バレのことは考えてなかったって……一体本来の目的は何だったのだろうか?


「彼にアバターを使って軽く事情聴取したところによると、どうやら全員受け入れると言う訳ではなくある程度選別するみたいです」


 ふむふむ、それはまあ妥当な判断だな。優秀な敵よりも無能な味方の方が恐ろしいって言うしな。あれ、違ったか?


「それに関することなんですが、どうやら謁見の間に直接招き入れたいとのことですが……別にいいですよね?」


 ん、それは魔王城の頂上付近に転移させると言うことか? まあできなくはないだろうが、そんなリスキーなことしても良いのか?


 ……いや、こんなタイミングでもなければ普通のプレイヤーは来れないか。ならば観光気分で招くのも悪くないだろう。まあ、私の城ではないのだが。


「うむ、いいぞ」


「やったーありがとうございます! じゃあそれを伝えるついでに彼に身バレ防止のアイテムと軽く台本を渡してきますね! 魔王が馴れ馴れしく話しかけてきたらそれこそ興醒めですもんね!」


 うん、そうしてくれ。って、え、台本? 台本って何だ、台本って!


 そう彼女に聞こうとした時にはもう既に彼女はゲームの世界の中だった。恐ろしく速いダイブだな。


 ……全く目に追えなかったぞ??









—————————————————————————

もしフルダイブのVRが開発されたら、ダイブしてる間にシャワーを自動でしてくれたらとても楽だなと思いました。


食事は…自分でしたいですね!


と言うわけで今回は皆さんがやりたいこと、やりたくないことを教えてくださいな!

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