第354話 強さの追求
「ん、なんですかこのモンスター達は? 堕天毒墨使、堕天変化使、堕天粘吸盤使こんな名前のモンスターなんていましたっけ?」
んー、なんかそんな三人組のモンスターが彼の従魔の中にいたような気がするんだが、決してそんな名前では無かったと思うんだが?
まあ、どう考えた所で彼が進化させた以外考えられないんだがな。
「それぞれが得意な技である、墨を、擬態能力を、吸盤をそれぞれ強化していますね。ここまで尖った性能にするというのは、何か狙いがあってのことなんでしょうか? ぱっと見では使い道が余り思い浮かびませんよ? 特に吸盤とか」
確かに、言われてみればそうだな。何にでも使える万能なものというのは、万能が故に尖った性能を持ちにくい。
逆に一点集中の性能は、リソースが集中されているため、使われればかなりの効果が期待できる。しかし、尖れば尖るほど、それに合う状況がなくなっていく。
つまり、何が言いたいかと言うと、使う状況を想定していなければ尖らせることはリスクしかないということだ。
敵を倒す為にSTRを、敵の攻撃を避ける為にAGIを、敵の攻撃を防御する為に……エトセトラ。ともかくこれらはまだその状況が分かり易いものだ。
だが、今回強化したのは余りにも尖り過ぎたものだ。
つまり、彼はこれらの能力が使える状況を想定している。いや、これらの能力が必要になる状況を作り出すのかもしれない。
いずれにせよ、注意する必要があるだろう。なんせ、私たちはそんな状況を一つも知らないからだ。
「なあ、吸盤が必要な時ってどんなシチュエーションがあるか?」
私は思わずそんなことを後輩に聞いてしまっていた。それ程までに自分が困惑して、理由が気になっているとは思わなかった。
「んー、吸盤ですかー。例えば崖に登ったり、敵に纏わりついたり、とかですかね? でも彼の場合はそんなことをする必要が無いと思うんですよねー」
確かに、彼は崖でも何でも難なく登れるだろうし、敵に纏わりつく前に倒すことができる。わざわざこんな回りくどいことをする必要がない、というのは理解できる。
じゃあ、何故こんなピーキーな性能に進化させたんだ?
……これはいくら考えも泥沼にハマるだけだな。そうやって徒に時間を潰すのならば彼の行動を観察して結果を知った方がいいだろう。
どこか負けたような気がするが、まあ今更だろう。
……その後彼はその三体と模擬戦をして、そのまま終了した。なかなか良い試合をしていたようだったが、結局何の為に彼らを進化させたのかは分からず終いだった。
ただ単に彼らを強化しよう、ってことならわざわざあんな強化をする必要がないからな。
彼はそのまま別の従魔と模擬戦をしに行った。
もしかして、彼が特殊な敵と戦いたいが為だけに強化したのではないだろうか?
……これは十分ありえるな。彼ならあり得る、いや、もはやそれしかないように思えてきた。
つくづく彼は私たちの予想を超えてくるものだな。あらゆる方向から強さを追い求め、それに余念がない。
彼は一体、その内どんな存在になってしまうのだろうか。恐ろしいような、楽しみなような、そんな自分が少し不思議だ。
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皆さんの好きな武器種はなんですか?
私は太刀とか好きですねー、刀ってなんであんなにかっこいいんでしょう?
あーでも銃で選ぶなら、ライフルかハンドガンですね!
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