第344話 縊死


「か、彼は再生を獲得したのか??」


「はい。効果は体の欠損や部位破壊が生じた時にMPを消費することによって元通りにする、というものですね。これはまた狂ったスキルを手に入れちゃいましたねー」


 確かにこれは狂っている。いや、本当は狂ってはいないのだが、彼がこれおを所有することによって狂ってしまう、というべきだろうな。


 彼にはご存知の通り無限魔力を持っている。つまり、無限に再生できるというわけだ。本来、再生を発動するには、欠損を回復させるにはそれ相応の莫大な魔力が必要になるはずだ。それこそ、その戦闘中にはほとんど魔法を使えなくなるほどには。


 ただ、彼にはその枷がないのだ。全く恐ろしい話だ。彼はいくらでも再生可能ということになる。今まではHPは減らなくても手足を欠損させればもしかしたら、という状態だったのが、再生によって完全に希望は絶たれてしまった。


 まあ、彼の攻撃を躱して攻撃を当て、あまつさえ欠損させるなんて無理な話なんだろうが。


 ん、ということは狂っているのはスキルではなくて彼自身ということだよな? なんだ、そんなこととうの昔に知っていたことだな。


「ん、そういえば首吊りで欠損って発生するのか?」


「え? あ、はい。そうみたいですね。とは言っても彼に特別起きたことのようです。そもそも、首吊りとはロープと自分の体重を使って気道を塞ぎ窒息させるものです。しかし、彼はなんと窒息無効を持っている為に普通の首吊りでは死ななかったようです」


「なるほど。ん、しかしそうなってくると何故頭が取れたんだ? ただのロープでは頭がちょん切れる訳ないだろう? そうなってくるともうタダの武器じゃないか」


「そうなんですよね、だからそれも彼特有なんですが、彼はどうやらロープを普通に入手したのではなく、配下のクモちゃんから入手したみたいなんです」


「配下の蜘蛛??」


 確かに、蜘蛛は糸を出すからロープの代わりになるとは思うが……


「はっ、まさか!」


「そう、そのまさかですね。現実の蜘蛛の糸ですらかなりの耐久を誇ります。それをゲーム内で、しかも強力な蜘蛛型モンスターが生み出す蜘蛛の糸、となれば当然武器として扱われる代物になっちゃいます」


 はぁ、なるほど、それで彼の頭がスパンと切れたわけか。


「ん? でも物理攻撃無効とか獲得してなかったか?」


「はい、どうやらそれもしっかり貫通によって無効化していたようです」


 無効を無効にする、なんとも彼らしい発想だな、全く。もう予想外とかそういうのじゃなくて別次元って感じだ。我々には無い発想すぎて困ってしまう。


「あ、また彼死に始めましたよ? もう欠損無効を獲得したのにまだ続けるんですか? もうステータスしか上がらないんじゃ……?」


 いや、それはおかしいぞ。彼を見過ぎて感覚が麻痺しているが、そのステータスを上げるという行為も他のプレイヤーが喉から手が出るほどしたいことなんだぞ? 皆、その為に死ぬ気でレベリングしているというのに、彼はそれをあくまでついででやってたからな、、、


 今更、それ自体を目的にしたところで然程驚くことでもないだろう。


「あ、更に窒息無効と血液不要を貫通して普通に首吊りできるようにしてますよ!? これで効率化を図ってるんですね。なんたる死への執念……」


 おいおい、そこまでするか??








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本日も読んで頂きありがとうございます!!


冷静に考えると運営編まで読んでくださるってものすっごくありがたいことですよね!

ただでさえ、本編を読んでくださるのはありがたいことなんですから、、m(_ _)m

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