第330話 神より魔王


「ん、え、は? はい?? こ、これはー、どういうことですか??」


 ん、これはまた珍しい反応だな。戸惑っていて尚且つ理解不能というようなそんな反応だ。一体、彼は何をしでかしたというのだろうか。


「先輩、ただ今とっても不可思議な出来事が発生いたしました」


 不可思議な出来事だって? いや、それよりも貴方の口調の方が摩訶不思議なんですが、それについての説明を頂けないでしょうか?


 いかんいかん、少しふざけ過ぎたようだ。真面目に聞こう。


「何があったんだ?」


「はい、まず彼は堕天使たちを戦線から離脱させ強制進化を行おうとしました。強制進化は最初の一回以外は必ず素材が必要なので、彼は過去何度か倒したことがあり素材をたくさん持っているであろう、クラーケンを使用しました」


 へー、強制進化って最初以外は素材が必要になるのか、知らなかったな。最初の一回は無理やりモンスターの枠をこじ開けることができるが、それ以降は何か足掛かりがないと前には進めない、そんなところだろうか。


 おっと、これは今本題ではないな。続きを聞こう。


「ここまでは良かったんです、ここまでは。ただ、ここからが問題でした。強制進化は通常通り行われました。しかし、その結果はいつもと大きく異なるものでした。なんと堕天使たちがそれぞれ別の種族へと進化してしまったのです!」


 な、なんだってー! とでも言えばいいのだろうか。いや、流石に大袈裟すぎるな、辞めておこう。


「ふむ、それぞれの進化先が別のものになったということか? どうしてそんなことが起きるんだ? そもそもどんな種族になったのだ?」


 そう、こっちの方がよほど重要だ。同じ素材を使って別の種に進化するとなれば、強制進化には運やそのほかにも色々な条件が絡んでくることが予想される。つまり、同じ進化を再現することは、難しい、ということになる。


 ただ、これは確定情報ではないため、今回たまたま突然変異的に異常が発生しただけなのかもしれない。


「はい、三つの進化先は、堕天墨使、堕天擬使、堕天吸盤使、です。どうやら三体の堕天使がタコの、いやクラーケンの特性をそれぞれ引き継いだのだと思います」


 ほう、これは思ったよりも興味深いな。それぞれ墨、擬態、吸盤、を使えるようになったということか。個性が出ており面白いな。それに、確かにこれならば納得がいく気がする。


「なあ、もしかして同じクラーケンの素材を使ったのだとしても、その中で別の素材として認識されたんじゃないか? 全てを均等に割り振るのではなく、個性が出るように、武器として使えるように進化したように見える」


「た、確かにそうですね。彼が素材投入時からクラーケンの素材を分けていたのか、それとも強制進化の過程で良い塩梅に分配されたのでしょうか。ともかく、同じ素材ではなかった、ということなんでしょうね」


「あぁ、恐らくな」


 大きなクラーケンという素材からその中でも、それぞれに適した特性になったのだろう。よく見てみると、個体名イエナイは墨を、ミエナイは擬態を、キコエナイは吸盤を獲得している。ミエナイは擬態することで見えなくなるし、……後の二人は別に関係はないか。


 いや、墨は毒とも言えるから場合によっては発言することができなくなるかもしれない。吸盤は、、、耳を塞がれたら何も聞こえまい。


 そう考えるとこの三体は神の偶然、いや魔王の偶然が働いた結果なのかもしれないな。


 見た目は……好みではない、とだけ言っておこう。






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明日から絶望の日常が始まるので日曜の午前中からセコセコと書き溜めをしているmagnetです。


今回は……名言です!

個人的に名言は好きです。かっこいいしタメになるしでいいこと尽くしです。まあ、行動に移さなければ意味がないですが。


では私から「窮鼠、龍をも喰らう」これはハムスターである自分を見立てて作った造語です。どんなに非力でも追い込まれれば龍だって食べちゃうよ、っていう意味です。皆さんも機会があったらぜひ使ってみてください!


他にも、アニメ部門、偉人部門、等あるのでお楽しみに!


皆さんもお気に入りの名言をどしどしお書きくださいっ!!

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