第329話 後退と交代


「あ、先輩。彼が研究所から飛び出しましたよ。そして、この方角は、恐らく再び空中都市に向かっていると思われます!」


 うむ、研究所に行って実際に天使の心臓からスキルを獲得することができる、ということを知ったから再び心臓の乱獲に向かおうということか。


 まあ確かに、天使の所在は悪魔と違ってはっきりしている、だからこそ彼も今が収穫時と言わんばかりに狩りに乗り出しているのだろう。


「でも、先輩? さっきの事件には流石に天使側も気づいてますよね? 本日二回目となる襲撃に対して天使側が何もしないということがあるでしょうか?」


「ふむ、それもそうだな」


 さっき一つの命、いや一つの心臓が奪われたばかりだからな。何の警戒もしていないのは流石におかしいな。


 だが、それと同時に多少警戒してくらいでは彼は止められないと思うぞ? 天使は人外の存在だが、また彼も人外なのだからな。


「え、せ、先輩!? 彼、従魔と合体して擬態を使いましたよ? あ、彼の見た目が天使に……」


 ほ、ほらな? 彼ならもっと大胆に正面突破すると思っていたんだが、思いの外ちゃんとしている。ということはつまり、それだけ本気で天使の心臓を狙いに来ているということだろう。


 彼には身を隠すスキルである、隠遁を持っているからそれだけでもいいのだろうが、それだと攻撃した後に他の天使に見られてしまう可能性がある。それを排除したかったのだろう。そう、心臓を乱獲する為に。


「あっ、あれ? 彼が攻撃されてますよ?」


「うむ、それもそうだろう、って、え? 彼が攻撃のか?」


「はい、今しがたどこからか彼の元にレーザーが飛んできて、彼は間一髪避けましたが、彼が元いた場所には大きめのクレーターができてますよ?」


 なっ、天使の対応がそこまで早いのか? ということはつまり前回の襲撃が露呈していたのだろうな。それで厳戒態勢の時に彼が忍び込んだというわけだ。私も見通しが甘かったと言わざるを得ないな。


 だが、それでも、いやむしろバレてしまったら隠す必要がなくなるから全力で天使の心臓を狙いにいくんじゃないか? 彼に本気を出させてしまったらもう天使の側に抵抗はほぼ不可能じゃないか?


「あ、先輩、彼、天使に対して堕天使をぶつけましたよ!? なんと非道な行いなんでしょうか! それでも彼は人の心を持っているのでしょうか?」


 いや、まあ人の心を持っていてもそれくらい別にするだろ、それに彼が人外なのは強さの面であって、心はただの人間じゃないのか?


「あ、でもなんか格が違くて太刀打ちできてないっぽいですね。結構押されてますよ? でも確かに位が異なれば一回強化したくらいじゃ勝てませんよね」


 ふむ、珍しいな。だが、そんなことを言ってしまうと、、、


「あ、彼、堕天使を交代させました! 交代要員はクモちゃんと、マグマちゃんと、カメちゃんですね! って、え? 彼らに戦わせている間に堕天使たちを強化させてますよ!!??」


 ほーら、言わんこっちゃない。別に一回だけという縛りはないんだからそりゃ強化するだろうよ。


 問題はどんな強化になるか、だが……






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運営編では皆様に色んなことを質問していきたいなと思っております。


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