第328話 彼の揺らぎ
「攻贖他愛の効果は、どうやらこのスキルを発動中に味方が受けたダメージを自分に肩代わりする、というものらしいです」
「なっ? そ、それは、まさか!」
「はい、恐らくそのまさかですよ。不死身の彼が味方のダメージを全て肩代わりする。つまり、彼だけだった不死身属性が味方全体、魔王軍全体へと付与される訳なんです!」
なんでそんな自信満々に言えるんだ……これは結構な問題じゃないのか? 従魔はただでさえ物凄く強いのに、そこに不死身属性が加わればもう誰にも倒すことなんてできなくなってしまうぞ?
「あ、でも先輩、このスキル制限時間があるみたいですよ? 制限時間は五分、五分間だけしか使えないみたいです」
ふむ、五分か。それならば常時使用されて戰の間、誰も倒せない、なんて状況になることはなさそうだな。だが、それでもこのスキルが依然として脅威であるのは間違いない。従魔たちが危機に陥ったときに、このスキルを発動させることで、セーフティーネットの役割を果たせるからな。
それは間接的な不死属性と呼べるだろう。それを攻略するには彼の知覚外から従魔を攻撃しなければならない。ただ、従魔と彼は念話、テレパシーで繋がっているから……
結局、ダメじゃないか。彼の知らないところで、テレパシーも封じて、従魔を超える実力をぶつけることで初めて倒すことができる、ってそんな状況存在しうるのか?
ん、いや待てよ。
「これってもしかしたら彼の弱点になりうるんじゃないか?」
「え、彼の弱点、ですか? な訳ないじゃないですか! 彼の弱点どころか彼の味方を強化して結果的に彼の強化にもつながってますよ!」
「いや、表面的な事象だけを見ればそうなんだが、彼が全ての攻撃を肩代わりするって意外とリスクの孕んだことなのでないだろうか」
「え? ちょっとどういうことですか、説明してくださいよ」
「あぁ、そもそも彼の不死身性というのは主に二つからなっている。一つは私たちもよく知っている無効スキルだな。彼は幾度となく死を繰り返すことで膨大な数の無効スキルを手に入れた。その結果、ほとんどの攻撃に対してダメージを受けなくなった」
「え、二つってそれだけじゃないんですか?」
「そうだ、こればかりが目立ってしまうのだが、最初の彼の不死身性はこれではない。彼の不死身は、自分のHP以上の攻撃を受けた際に、必ず食いしばりが発動し、そしてすぐ様HP自動回復によってHPが全快する、というものだ」
「あー、確かにありましたねそんなもの」
「そしてそのコンボも完璧ではない。食いしばりは常に発動するのだが、HP自動回復は常に発動しない、彼の称号等で効果が底上げされているが、それでも二秒間に一度しか回復できないのだ。つまり、そこに彼の命の揺らぎが存在する」
「お、おぉー」
「彼が全ての攻撃を肩代わりする際に、彼が無効できない攻撃が含まれ、さらにそれを連続して当てられれば、彼を倒せるのではないだろうか」
「おおーー!! あ、でもそんな状況ってそもそも発生しますかね? ってか、彼の場合はそれでも死ねてラッキー、程度にしか感じないんじゃないですかね?」
「あえ?」
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やる気がない時は運営編から執筆します。書く素材が既に用意されているから結構脳死でかけるんです。
まあ、本当にやる気がない時は書けないんですけどねw
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