第327話 三連嘆


「あっ、彼、空中都市に向かうみたいですよ!」


「空中都市!?」


「はぁ、先輩って本当に何も知らないんですね。空中都市は天使たちが住まう場所のことですよ? 人間たちに扮して人間社会に紛れ込んでいる悪魔たちと違って、天使たちは自らの定住の地を持っているんです!」


「ふむ、それが空中都市、ということか。つまりは、彼は今から天使の本拠地に喧嘩を売りに行く、ということなんだな?」


「あっ……そ、そうですね。で、でも別に彼が行くからと言って何も絶対に喧嘩が起きるとは限りませんよ! 彼だって単なる知的好奇心を満たしたいだけだと思いますよ! そう、これは視察ですよ視察!」


 視察って喧嘩する前提なのは変わらないんだな。にしても、私も私で何もわかっていないと言われたくらいで大人気なかったか。


「あえ!? 彼、空中都市の門番に早速禁断の果実を渡して食べさせましたよ!? そんな見ず知らずの誰かからもらった食べ物その場で口に入れます普通!? ってか、彼も彼でもっと穏便な方法はなかったのでしょうか?」


 早速、始めているみたいだな。やはり、彼に視察なんて概念はないみたいだ。なんせ、彼ほどの力があれば視てそのまま滅ぼすこともできるだろうからな。わざわざ視察の時間だけを設ける必要はないのだろう。


「え、え、え!? 彼、ものすごいスピードで進んでいますよ? 全く迷いがありませんね、標的が決まっているかのような動きですよ? あっ、あ、あぁ……やっちゃいましたか。って、あれ、もう帰るんですか? やっぱり今日は視察みたいですね」


 ん、マジか。本当に視察だったのか。まあ、それでもちゃんと何かしらの目的を達成しているみたいだから視察以上の手応えはあったのだろうが。


「彼は一体何をしていたのだ? 目的とはなんだったんだ?」


「え、あぁ、確かに説明していませんでしたね。彼は空中都市に入るなり一瞬にしてこの中では一番位の高い天使が住まう場所へと侵入し、そのまま心臓を抜き取っていったのです!」


「心臓を抜き取る?」


「はい。これは敵の強さがどれくらいかを視察した、というよりは天使の心臓が欲しかった、という感じでしょうか。すぐ帰っちゃったので多分そうだと思うんですが、何故わざわざ天使の心臓なんかが欲しかったのでしょうか?」


 心臓、抜き取る、天使……


「はっ、もしかして彼、天使の心臓も悪魔の心臓と同じようにそこからスキルを抽出できると考えたんじゃないか?」


「あ、あ、あーー!! 絶対にそれですよ先輩! ってか、彼、直線距離で今、その研究所に向かってますし! うわーなんで気がつかなかったんだろ、天使の心臓を抜き取ってる時点で気がつくべきでした。確かに天使と悪魔は対になる関係、悪魔でできるなら天使でできない道理はありませんね……」


 そうだ、彼はそれを理解していたのだろう。そして、天使は悪魔と違って定住している。つまりは所在がはっきりしているということだ。彼としては旨い狩場ができた、程度にしか思っていないのではないだろうか。


「あ、もうスキル獲得しちゃいましたよ……スキル名は攻贖他愛、な、なんかいかにも天使のスキル、って感じですね。効果も絶対碌でもないものですよ、きっと」


 うむ、これに関しては彼女との全くの同意見だな。さて、一体どんな効果なのだろうか。






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お久しぶりでございます。なんとか書くことができました!

この調子だと意外と復活は早いかもです!調子が戻って参りました!(盛大なフラグ


因みに、タイトル名は誤字じゃないですよ。そして、作者は実は賭け事をしたことがありません、多分。


あとはコメ返しだ!明日中には終わらせたいけど、明日のことを考えると今からやりたいですね。これが投稿されるまでに終わってたら皆さん、コメントしてくれますかね?

してくれるなら今からコメ返しするぞー!

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