第309話 素晴らしい機能
「lightは名詞では光や灯火っていう意味がありますね。形容詞だと軽いとか淡白、フワフワ、なんて意味もあるんですね! でも、これだと思いの外意味が多くてどのライトなのかわかりませんね」
彼女は意味を調べたようだ。まあ、英語なんて今時覚える必要も無くなったからな。全て同時自動通訳されるからな、外国の人と話すのにも一切苦労しない。英単語を必死に覚えていた時代の人々はひどくご立腹なのだろうな。
因みに、動詞だと火を付ける、という意味もある。そもそも名詞、形容詞でそれぞれ光、軽い、というイメージがあって、そこから色々細分化しているだけだろうから、極論、意味は二つだ。なんなら光も色合い的に見れば非常に軽い色であるから意味は一つと言えよう。
つまるところ、どんな意味にせよ彼のプレイヤーネームは「軽い」ことに関係するのだろうが……まあ、詳しいことは考えても無駄なのだろうな。結局、私たちは答えを知り得ないのだから。
しかし、人間というのは私のように割り切れる人ばかりではなく、
「うぅー気になりますねー」
彼女は今もなおゴールのない迷路を彷徨っているようだった。まあ、これはその人の特性というよりかは、経験によるものが大きいのかもしれない。人は成長すればするほどどうにもならないことの多さに気づいてしまうものだからな。
「もしかして、Lっていうのは別にPNと何も関係がない、という可能性もありますよね? それこそ何か好きな漫画やアニメからとって来た、という可能性もあるでしょうから」
おいおい、そんな可能性も考慮し始めたらいよいよどうしようもないだろう。ゴールがないどころが、身動き一つ取れないと思うぞ?
……まあ、彼女が好きにすることだ。部外者の私がとやかくいうことでもないだろう。
でもそれは、私に迷惑がかからない範囲であれば、だが。
「なあ、新規イベントのお知らせを通知しなくていいのか? 早くしないとただただんにイベントに魔王が参入して来ただけかよ、って思うプレイヤーが続出するのではないか?」
それだけならまだしも、中断されたのだから何か補填を、とか訳のわからないことを言ってくる可能性もある。
「はっ! これは完全に失念しておりました! ただ今、文言を考えます!」
今からとは……間に合うのだろうか。まあ、確かに彼にある程度任せてしまったことにより、どうなるか分からなかった以上、どうなっても対応できるよう、ギリギリまで白紙の状態にしておく作戦だったな。にしても、少しスタートダッシュが遅いのではないだろうか。
そんなに彼の名前が気になったのか?
「よし! できました!」
はやっ!? そ、そんなにすぐ完成するものなのか? 誤字脱字は大丈夫なのだろうか、って、全自動即時訂正機能があるから大丈夫か。
にしてもこういう仕事の速さを見ると、やはりこの後輩は優秀なのだな、と思わされるな。それも単なる事務作業ではなく、クリエイティブな仕事だ。バイタリティも含めてやはり彼女は一流だと思う。
その維持費が嵩まなければもっと素晴らしいのだがな。美しい薔薇には棘がある、ってこういう意味だったか?
「ん、先輩、どうかしましたか? チェックします?」
「いや、大丈夫だ。ちょっと考えとしてただけだ」
「もーう、大事な瞬間なんだからしっかりしてくださいよー!」
いや、その大事な瞬間のスタートダッシュが遅れたことのお咎めはないのか?
「では、彼には少し焦ってもらいましょうか! 彼にとってこれがどれくらいの脅威になるかはわかりませんが、魔王討伐イベント、開催です!!」
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本編ではあまり触れられなかった魔王Lの由来について地味なヒントを出させてもらいました(ニヤリ
とは言っても皆さんまで迷路にご案内するつもりはないので、深く考えずに適当なマーク、くらいに思っててください!大した意味はございません(・∀・)
いつかちゃんと回収できればと思います。
さて、私は一時期生産職のVR小説にハマっていました。ですので、皆さんのおすすめがありました教えて欲しいです!
私はその中で一番好きなのは数話しか出てない上に一年半以上更新されていないんです……
あ、あるかどうかは知らないけどVRものじゃなくても大歓迎です!(´ω`)
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