第308話 魔王様の爆誕


「おはようございますっ!」


 朝からとても元気の良い挨拶をどうもありがとうございます。おかげで昨日の痛烈な出費を思い出すことに成功しました。全く、梯子酒ならぬ梯子飯とは彼女の胃袋は一体どうなっているんだ? 天才は頭に糖分を使いすぎているのだろうか。


「何はともあれ、今日はいよいよ当日だな。どんな方法でデビューするのか非常に楽しみだな」


「ん、何がともあれなんですか? でもまあ、確かに楽しみですね! いやー楽しみすぎて眠れませんでしたよー!」


 そういう彼女の目元には一切のクマが見受けられず、顔も非常に溌剌としており、とても寝れなかったようには見えない。まあ、私のように寝不足で来られるよりかは何倍もマシだけどな。色々な理由があって寝れなかったぞ、本当に。


「あ、始まりましたよ! お、まずは骨骨部隊を投入してばを掻き乱すつもりみたいですね! 彼が登場するのはラスト、ってことなんですかね? いやーいきなことしてくれますねー!」


 ふむふむ、確かに粋かもしれないがやりすぎてプレイヤーたちのヘイトを買いすぎるのだけは勘弁してほしいな。だって、彼からしたら好きなようにやっているつもりだろうが、プレイヤーからしたら我々運営が行なっていること、としか映らないのだからな。まあ、もう手遅れかもしれないが。


「ん、よく見てみると彼はフィールドの中央で彼が隠遁を使って堂々と屹立していますね! なんとも大胆なんでしょうか! しかも、その彼の元にプレイヤーを集めるかのような骨骨ちゃんたちの動き! 完璧すぎますよ! 彼は生粋のエンターテイナーですねっ!」


 そのエンターテイメントに一番魅了されているのはどうやら彼女のようだ。プレイヤーからしたら溜まったもんじゃないだろう。こんな強力なモンスターが出現してしまえばイベントどころではなくなってしまう。まあ、これも今更すぎるのだがな。


「あ! ここで最初の従魔であるトリちゃん? がどこからともなく出現しました! そして、あっ……え? 全滅!?」


「は?」


 これに関しては私も開いた口が塞がらなかった。その従魔が現れて魔法を使った刹那、黒い雷がプレイヤーたちの頭上に降り注ぎ、瞬く間に皆が命を絶やしてしまった。ちょっと、どころかかなりやりすぎなのではなかろうか。


「ちょ、ちょっと何やってるんですか! プレイヤーの皆さんに自己紹介しないとダメでしょう!」


 彼女は気がかなり動転しているようで、届くはずのない小言を画面越しに彼に叫んでいた。確かに、彼のデビュー戦だったはずなのに、結局の所、彼の従魔しか活躍していないことになっている。これだとなんでイベントが邪魔されたかの説明ができないことになる。


 ん、ってことは運営がプレイヤー全員からなじられる……? そ、それは不味い、非常にまずいのだが。うっ、お腹が痛くなってきた……


「あ、彼が現れました! なるほど、彼は中継カメラに向かって宣言しようとしているんですね! そうした方が本当にプレイヤー全員に自己紹介できますからね! くぅー! これは一本取られましたよ! 従魔には舞台の準備をさせていたわけですね!」


 な、なるほど。確かにそちらの方が効率よくより多くの人にメッセージを届けることができるな。やはり彼は我々が思っている以上に賢いようだ。


「ま、魔王!? 彼、魔王Lって自己紹介しましたよ!? なんでL? プレイヤー名はライト、ですよね? ってことはrightじゃなくてlightってこと? あれ、lightってどういう意味でしたっけ?」


 いや、前言撤回だ。彼が我々以上に賢いのではなく、我々が想定以上に馬鹿だったのだ。









——————————————————

注)主人公は従魔に任せていたらいつの間にかプレイヤーが全員いなくなっていたので慌てて自己紹介しただけです。


本編はちょうど560話です!


後輩さんのイメージはショートもロングも両方いたようです!

ってことは、作者の意向丸出しでも問題ないよなぁ〜?(ニチャア


とはいっても普通に後ろで一つ結びしてる元気溌剌な女性という、いかにもありきたりな設定になってしまうんですが。。(¯―¯٥)


とにかく、♡連打ぁあああああああ!!!!

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