第307話 うっかりとすっかり


「ふぅー。なんとか間に合いましたねー!」


 そんな爽やかな笑顔で言われてもだな、こちらはそれ相応の出費が発生しているのだぞ? しかも経費で落とすことの出来ない自腹で、だ。


 全く、気づくといつの間にか財布の中身が軽くなっているのだから、油断も隙もない。だが、今回はいつもに比べてテイクアウトをしている分、少し安くなっているのが不幸中の幸だな。


「危うく彼のデビューを見逃すところでしたよ!」


 うん、貴方のせいでな。決して私のせいではないのだから、その自分は悪くない、みたいな顔をするのはやめてもらってもいいだろうか?


「ん、先輩どうかしましたか?」


「いや、なんでもないぞ? それより本当にもう始まってしまうんじゃないか? デビューの方法については細かくは指定していないのだろう? 彼は一体どのように皆の前に姿を現すつもりなのだろうか」


「ふーん、まあ確かにそうですね、どうするつもりなんでしょう。彼ほどの人をあれこれ縛り付けてはいうことを聞いてもらえなくなるんじゃないかと懸念して特に何も指示を出してはいませんでしたが、何か注文しておいた方がよかったでしょうか? 例えば、んー、カッコいい決め台詞を言ってもらうとか」


「……い、いやしなくて正解だっただろう。彼みたいに優秀な人は指図されるのを嫌う傾向にあるからな」


 正しく、君みたいに。という一文は勿論除外しておいた。それに、彼女の例を聞くに本当に何も指定しなくて正解だったな。何が不興を買うか分からない以上、下手な手を打つのは避けるべきだ。


「それにしてもなんだかんだでこれが最終戦ですからねー。他のプレイヤーの皆さんはどんな反応してくれるんでしょうか? 今から楽しみです! 」


 それを楽しめるその精神に驚愕だぞ。私は、どんなことを言われるのか怖くて仕方がないっていうのに。なんせ彼を除く全プレイヤーをコケにして彼のデビューをしているのだからな。まあ、彼がプレイヤーとばれなければある程度は大丈夫だろうが、もしバレたら、と考えると気が気でないぞ。


 それを楽しむ、とは。やはり若さが故、なのだろうか?


「あ、そうだ。せっかくだから他の従魔も見たいですし、残りの従魔さんたちにも参加してもらいましょう! その方が今までの妨害も全部彼の仕業だった、ってわかり易いでしょうしね!」


「お、おう。そうだな」


 って、結局指示するのか。まあ、その程度であれば特に問題はないか。快く引き受けてくれればいいのだが……


「あ、そういえば最終戦は明日でしたね! すっかり忘れてました!」


「はい?」


「ん、ってことはご飯食べに行けますね! 先輩、一緒に行きますか?」


「はい!?」


「お! そんなに乗り気で返事してくれるとは! 後輩思いの先輩ですね、嬉しいです! じゃあ早速行きましょうか! ちょーどオススメのお店があるんですよねー!」


 気づけば数ターンで会話の主導権を握られ、気づけば一緒に食事に行く流れになっていた。私が誘われた立場なのだが、立場的に私が代金を払うのは免れない。


 というか、私は受け止められない現実を聞き返していただけなのに何故こうなった??


 彼女相手には一瞬たりとも気が抜けない、ということなのか……それは、同じオフィスで働く者同士どうなんだろうか?



 ……食事ないようについては聞かないでくれ。恐らく、食事じゃなくて会食と言った方がいいような場になるのだろうから。






——————————————————

ガチで決勝が次の日だってこと忘れてました。話の整合性的に大丈夫だろか……(確認しろ


そういえば、なんですが皆さんの後輩のビジュアルのイメージを教えてもらいたいです!そこそこ可愛い? 絶世の美女? 普通? それとも、、いや、それ以上言ったら恐らく財布の中身を持っていかれるので気をつけてください(暗黒微笑


っていうのは冗談なので皆さんの意見をお聞かせください!(・∀・)


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