第283話 ぶち込んじゃいました


「そして金ピカゴリラを倒した後に彼はとうとう邪の祠第二階層ともいうべき、地下ダンジョンへと乗り込みました」


 ここから本番、と言うわけか。めずらしく彼も苦戦していたように見えるが第二階層なる場所に行っても大丈夫なのだろうか? 


 という心配は杞憂なのだろうな。なぜだろう、相変わらず彼が負ける未来が全く見えない。まるで彼が主人公であると心の底から認めてしまっているような、そんな感覚だ。


「第一層、いやゼロ層と言った方がいいか? 地表ではかなり強いモンスターたちが出てたな、それこそ一癖も二癖もあるようなモンスターたちばかりだった。そんな邪の祠の第一層はどんな敵が出てきたんだ?」


「それがなんと……スケルトンだったのです!」


「……は?」


「あ、もちろんスケルトンだけじゃないですよ? 他にもゾンビやコボルトやゴブリンといった名だたる弱モンスターたちが勢揃いしていました!」


 名だたる弱モンスターって、彼らもきっと不本意なんだろうな。それにしても彼らが弱いなんてイメージはどこからついてしまったのだろうか。本来ならば、というか生身の人間同士であれば余裕で彼らの方が強いのではないか?


 ま、それを言ってしまえば動物の中で人間はかなり弱い方になるのか。道具を作り、使いこなしてきた人間は本当に特殊な存在だと言えるよな。


「あ、それでなんですけどね先輩、彼がなんとこの階層で新たな従魔を獲得したんですよ!」


 え? それってそんなに軽く言うもんだっけ? 確かに彼も従魔は増えてきた印象はあるんだが、もっと大々的に言うものじゃないのかな?


 だって従魔ってそれだけで単純な戦力増加でしょ? それにさっきも見たが、あれほどまでに主人に尽くさせる忠誠心の育て方を持ってすればその戦力は恐ろしいものになる。


 ん、いや、待てよ。ここには名だたる弱モンスターしかいないのだろう? ならばその従魔も弱いってことになるんだが……?


「えーっとスケルトンを少々とスライムとゾンビですかね?」


 えーっとスケルトンってそんな調味料みたいな感覚で捕まえるもんだっけ? ま、まあスケルトンならまだわかるか。無茶苦茶強いモンスターじゃないだけマシだな。


「スライムとゾンビはなんで一匹ずつなんだ? そいつらも少々ゲットしても良かったんじゃないか?」


「あーそれについてなんですが、スライムとゾンビはなんと融合されちゃったんですよね……」


「ゆ、融合!?」


「はい、彼の魔術である死霊魔術が死骸魔術に進化したせいで、新たに奪魂、授魂、を使用可能になったんです。それで、彼はゾンビとスライムの魂を奪ってゾンビの魂をスライムにぶち込んでしまったのです!!」


「……は、はい?」


 ちょっとテンションが上がっていらっしゃるのですが結構ヤバいこと言ってらっしゃいますよ?


 ってか、いつの間に死霊魔術が死骸? 魔術になっているんだ? ってか死骸ってなんかグレードダウンしてないか?


「って、スライムにゾンビの魂を入れるってドユコト!??」







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ダンジョン系の小説探してます。


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