第282話 忘れられた語源


「このクモちゃんが倒した敵はダストパーティカライザー、というモンスターでしたね。一体どういう意味なのか、全くわかりませんが」


 ダストパーティカライザーか、ダストは粉塵とかいう意味なんだろうな、ハウスダストとかいう言葉もあるくらいだし。


 だが、パーティカライザーというのがわからないな。パーティクルというのは粒子という意味だが、パーティカライズで粒子化する、パーティカライザーで粒子化する奴ってことなのか?


 まとめると粉塵を粒子化して戦う奴、っていう意味になる。んーよくわかんないな。後でこの名付けをした者に聞いてみよう。


「そして、その次はアシュラくんを召喚しましたね。やはりこのダンジョンでは従魔の成長確認という意味合いが大きいのでしょうね。今まで敵一体につき従魔一体を当てていますから、まず間違いないでしょう」


 それはそうだな。だが、従魔をここまで強化する理由はなんなのだろうな。自分を強くするのと同じように考えているのならば従魔たちが彼の基準についてこられない可能性がある。


 しかし、さっきの蜘蛛の戦闘を見ていると、たとえNPCと言えども余裕で彼についていけそう、と思ったのもまた事実だ。辛さよりも忠誠心が上回っているなど、私からしたら考えられないな。本当に大したものだ、彼は将の才能があるのだろうな。


「さて、そのアシュラくんのお相手さんなんですが、その名前をゴルディックラースと言います。見た目は金色のゴリラ、と言っても過言じゃないですね。全体的に隆起した筋肉を覆っている金、間違いなく金色ゴリラですね」


「なるほど、今回は共に体がゴツい者同士の戦い、ということなのだな?」


「はい、そんな感じですね。その体がゴツいって中にも少し差があって、金色ゴリラはより力に、アシュラ君はより手数に重きを置いている、という感じでしょうか。さて、先輩はどちらが勝つと思いますか?」


 ここにきて急にクイズか……正直なことをいうと金色ゴリラの方が、力を集結している感じがして強そうだ。しかし、彼が、彼の従魔が負けるというビジョンが全くといっていいほど見えないのだ。


 その上でどちらを私は答えるべき悩む。シンプルに思った通りに答えてもいいのだろうが、その返答次第で彼女の機嫌を損ねてしまったら目も当てられない。どっちが正解なんだ?


 ……考えても無駄だな。どっちを答えても当たり外れ両方の未来が見えてしまう。


 仮に従魔と答えるとして、彼女がその時従魔と予想していれば、共感する可能性と、なんだよ私と一緒かよ、っていう考えの二つに分岐する。金ピカゴリラが勝つと予想していればさらに二つに分かれて合計四つへと分岐する。


 だが、彼女は結果も知っているのだ。つまり、これに掛ける二をした八通りの分岐ルートが存在するのだ。これは考えても無駄だということがわかっていただけるだろうか。


 つまり、全ては彼女次第ということだ。


「んー、流石に従魔の方か?」


「あー当てちゃいましたねー。でも、まあその過程は少し、いやかなり驚くと思いますよ? だって、かなり一方的だったんですから」


 お、これはいけたということか?


「ほら、見てください、この圧倒的なまでのワンサイドゲーム、防御力が高い金色ゴリラを一方的に殴り続けていますよ! そして、一発一発は大したことのないダメージでもそれを延々と繰り返され、体を揺らされ続ければ、流石のゴリラも負けちゃった、ということですね!」


 ん!? 本当に行けてしまったのか??






——————————————————

必ず意味を持って名前をつけているはずなのですが、どういった流れでその名前がついてしまったのか、完全に忘れてしまいました……


私が忘れてしまってはもう、完全に闇に葬り去られてしまうと同義ですよね。


これからはちゃんと覚えておかなくちゃ。。

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