第280話 進言


「まあ、とりあえずマグマさんの能力については一旦置いといて、次はマグマさんを引っ込めてクモちゃんに従魔を変更しました。彼はこの邪の砦で従魔の強さを測っているのか? というくらい頻繁に交換をしていた印象がありますね。普通ならどうにか勝つために全軍で突撃するか、立ち回りしやすい単騎で攻略するかのどちらか、なのでしょうが、流石は彼、といったところでしょうかね?」


 なるほどなー。彼は高難度ダンジョンであるにも関わらず従魔の力を測る余裕さえあるのか。こりゃもう彼を満足できるコンテンツなんかこのゲームには無くなってしまったのではないか?


 い、いや流石にそれはないな、もし無くなってしまったのなら作ればいいだけなのだから、それは我々運営と彼との戦いでもあるな。


 だが、どこまで行けば彼の気が済むのか、そしてどこに向かっているのか、それがわからなければただただ強くなって強くさせてのイタチごっこの繰り返しになり、不毛なことになってしまいそうなのだが……


「そして、今回、なんと今までに無かった展開が発生しました!」


 彼女の言葉で現実に引き戻される。いかんいかん、本当にすぐ思考の海に潜ってしまうのだよな私は。


「まず、クモちゃんが配下を大量に召喚し周囲の偵察に向かわせました。しかし、なんとその偵察部隊が悉くやられてしまっていたのです!」


「ほう」


 それは確かに新しく面白い展開だな。ただ単に強いモンスターが出現した、という風にも取れるかもしれないが、恐らく蜘蛛の従魔が召喚した配下は子蜘蛛だろう、つまりものすごくちっさいのだ。


 それを一人残らず鏖殺したとなると、その強力なモンスターが非常にマメであったか、もしくは……


「そうです、今回の敵モンスターはかなり特殊な敵でした。そのモンスターはなんと、自分の周囲に爆薬、火薬、粉塵のような、一見薄暗いだけに見えるもののよくみればちゃんと赤い、煙幕のようなものを周囲に展開していたんです!」


 火薬のようで爆薬のような粉塵のような煙幕? ん、ってことは空気中に止まり続ける感じの爆薬って感じか? 自分で発火性のある粉塵爆発をイメージすればいいだろうか?


「そして、この煙幕の恐ろしいところは、吸い込んだら最後、体の中で爆発してしまう、という点にあるのです!」


 なるほど、だから子蜘蛛が一匹残らず全滅したというわけだな。その空間に入った瞬間に爆散していったということだな。なかなかえげつない敵であるな。


「かなりの強敵に彼も焦ったのでしょう、幸い彼の物理攻撃と温度への耐性のおかげでほぼ無傷に住んでいましたが、それでも彼は単騎で突っ込もうとしたのです」


「ん?」


 ということは話の流れ的に突っ込まなかったってことだよな? 彼を止めることが出来るものがその場にいたのか? その場に限らず、俺はそんな人物がゲーム内にいるとは思えないのだが?


「なんと、彼の行動を止めたのは従魔のクモちゃんでした」


「く、クモちゃん?」


「はい。なんと、自らの手でその敵を倒したいと彼に申し出たようです。全く、彼の従魔はどこまでもバトルジャンキーなんですかね。そしてそんなアツい従魔を彼が止める理由もなく、送り出した、というわけですね」


「な、なに? 蜘蛛って流石に爆発とは相性が悪いのではないか?」


「はい、蜘蛛に炎は古来から伝わる弱点ですよね、さぁ、クモちゃんは一体どうやってそのディスアドバンテージを克服したと思いますか?」


 あ、蜘蛛が勝つのは大前提なのね、はい。








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よかったー投稿できて本当によかったー諦めそうだったー笑


頑張って書いたので♡を押してくださると嬉しいなっ♪

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