第278話 圧倒的誠心誠意陳謝
「さて、オーガサイクロプスを倒してからの出来事ですが、彼は一体何をしたと思います? そうです、彼はまたもや無効スキルの獲得に向けて乗り出したのです」
いやいやいや、そうですって私はまだ何も言ってないのだが? まあ、確かにそうやって突っ込めるほど予想外という訳でもないな。
私たちのイメージとして彼は死、そして無効化スキル、そして強さというのが表裏一体の存在として認識してしまっているからな。それらはもはや切っても切り離せない存在なのだ。
ん、表裏一体って二つの事象に対して使う物だよな。今回みたいに複数の事柄が複雑に絡み合ってる時にぴったりな言葉ってないのか?
「ん、先輩その顔はまたしょうもないことを考えているんでしょう、仕事中なんですから真面目に働いてくださいよ! それで話を戻すんですが、彼が無効にしようとしたのはなんと、音なんです!」
「大人なんです?」
「はい? 今確実にやりましたよね? な、が一個多いですよね? ってことは確信犯ですよね? しかもなんですか大人無効って、ピーターパンにでもなったつもりですか? 先輩のその歳でその発言はちょっと痛いというかキツイというか無理がありますよね? これ、どうやって弁明するおつもりなんですか?」
ん、不味い。ちょっとした悪ノリだったつもりが思いのほか大きくなってしまったな。これは不味い。
だが、ここでいつものように負ける私ではない。こんなことはあろうかとしっかりと反撃の一手を用意しているのだ。今日の私はいつもと一味違うぞ?
「す、すまない。言った後に後悔したよ。そりゃそうだ大人無効なんてあるわけないもんな。でも、そう聞こえてしまったんだ、許してくれないだろうか。自分でもありえないと思って咄嗟におうむ返ししてしまっただけなんだ、見逃してはいただけないだろうか?」
私の切り札は、そう、陳謝だ。
この世で強い感情の一つに誠心誠意、というものがある。これさえ真に伝わればきっとわかってくれるはずだ。……伝われば、だが。
「め、珍しいですね。そんなに謝るなんて、まあ、良いですよ私もそこまで怒っているわけではないので、はい。ってか何かあったんですか?」
財布の事情がそろそろ怪しい、なんてことは言えない。だが、これでいけた、のか?
いや、だが忘れてはいけないことが一つある。それはアフターフォローだ。
「あ、ありがとう。私もほんの出来心で言ってしまっただけなんだ、許してくれてありがとう」
そう、許してくれた相手に対する感謝を忘れない、ということだ。そうすることで持ち上げられた相手はさらに気を良くし、完全に許す流れになる、というものだ。
「ん?」
「ん?」
「はい?」
「はい?」
「えーっと?」
「えーっと??」
「……」
「……はい、ごめんなさい、何か甘いものでも食べて気分を和らげるとしましょうか」
「うむ、分かればよろしい、です」
一応、私先輩なんだけどなー。ガリガリくんで手を打ってもらえないかなー。
そして、アフターフォローは何よりも大事、これを肝に銘じた私であった。
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執筆途中に動画見てしまってそこからとても時間を食われてしまいました。
皆さんも似たような体験がありましたらコメントへお願いします!!
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