第276話 擬似アポトキシン


「な、先輩、彼がものすごいスピードで移動しているんですが、これはどこかに向かっているのでしょうか? いや、どこかに向かっていたとしてもものすごいスピードなんですが、怖いくらいの早さです!」


 ん、どこかに移動している、だって? 私たちも怖くなるくらいの長旅を共に今しがたしてきたばかりではないか。……実際に値段は恐ろしいものになってしまっていたが。


「あ、これってもしかして邪の祠、に向かおうとしているんですかね?」


「邪の祠?」


「はい。そこはいわば隠し要素のようなもので、平たくいえば帰らずの塔のような感じにダンジョン、といった感じです! ですが、それとは大きく異なる点があるんです!」


「大きく異なる点?」


「はい! それが、邪の祠と冠しているだけにそういった職業の方がこちらにこられると大幅強化される、と言うスポットになっているんです! また、そうじゃない方もそっち方面に転職することは可能です!」


「な、何ー!?」


 ま、不味い。頭が真剣に働いていない。さっきから後輩のおうむ返しになってるし、最後のなんてオウムにすらなってない。


「ですが、その分情報が得られるポイントが限られているんですよね。当たり前のように、そっち方面の職業の方から情報をしないといけませんからねぇ。彼は一体どこでこの情報を……? あ、もしかして?」


「も、もしかして……?」


「彼が捕まえていた獣人のマフィアから購入したんですかね? 息子を成長もさせてましたから無料で情報をもらっていもいいと思いますけどねぇー」


「確かになー」


「「……」」


 二人の間に気まずい沈黙が流れる。しかし、私にはこれをどうにかしようという気力すら起きない。非常にまずい状況だ。


「先輩、どうかしました? 何かありました? もしかしてラーメンでお腹下しちゃいました?」


「す、少し仮眠室を借りていいか? ちょっと私寝不足のようだ」


「え、べ、別にいいとは思いますが……そんなに寝不足だったんですか? 睡眠はちゃんと取るべきですよ? だって、じゃないと頭の回転が遅くなりますからね!」


 ……頭の回転が鈍いのは決して睡眠不足だけのせいではないとも思うのだが、まあいいだろう。


 私は仮眠室に直行し、雪崩れ込むようにベッドにインした。


 そして、、、十七時間くらい寝てしまっていた。目が覚めると私は……


「か、体が縮んでしまっている!?」


 な、なぜだ? そんなこと物理的にあり得ないだろう? なんでこんなことが現実に!?


「キャハハはは!! 先輩、先輩が寝てたところって実は仮眠室じゃなくて試験室だったんですよ! だからこっそりアバターの姿を変えたらどんな反応するのかなーって思ったら予想通りでめっちゃ面白かったですよ!」


「……そ、そうか」


「それにしても起きるの遅過ぎですよ! 何時間寝てるんですかー!」


「す、すまない」


 って、なんで私が謝っているんですか?





——————————————————

生活が荒れているご様子。


あと、今こっそり夏緊急イベントを考えているのでお楽しみに!


♡を押して待っててね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る