第273話 ニコイチ
「では、五つ目ですね。これは転双の拳というガントレット装備です。もちろん、パンチ力を強化するだけ、なんてことは無くしっかりと効果がついているのですが、この効果、かなり強いというか特殊というか、今までとは少し毛色が違うんですよね」
ん、彼女がそこまでいうのも珍しいな。だって、今までの装備だってかなりの粒揃いだったぞ? HPが減るに連れて防御力上がったり、命のストック作ったり、認識されづらくなったりと結構派手にやっちゃってるぞ?
唯一アシュラ君の装備だけはただ分離統合ができるだけか、と思わなくもないが、それだけでも十分強力なのだ。
となると、一体どんな効果なのだろうか。転送と言っているだけあって、何かを飛ばすのか?
「このガントレットは完全にこの従魔、個体名スカル、ボーン専用に作られています。そして、この装備を説明する前にこの従魔についての説明をしなければなりません」
頭蓋骨を表すスカルと骨を表すボーン、正にスケルトン、と言った感じだが、それのどこに説明が必要なのだろうか?
「今、先輩は私がいったスカルとボーンという従魔について二体の従魔である、そう捉えたと思います。しかし、実際は二体で一個体を形成しているのです」
な、何!? 二人で一つ、だと? つまりは、もうとうの昔に死語になった「ニコイチ」状態ってことか?
「ど、ど、どうやって彼はそんな生命体を作り出したというんだ?」
「はい、恐らくですが強制進化をする際に二人同時に行ったのが原因であると考えます。それによって二人が素材と進化元の両方に認定されたことでこのようなことになったと思われます」
「な、なるほど……」
「そして、この二人はいつでも合体が可能なのです。正確には通常状態は二人別々なのですが、スキル二位一体を使用することによって合体できるのです。しかも、合体することによって全体的にステータスが上昇する、というオマケ付きです!」
いや、どちらかというとオマケというよりそれが本命だろう。だってそうじゃなきゃわざわざ数の利を減らしてまで合体する意味は薄いからな。
にしてもなるほど、面白い従魔だな。ここに冒頭のあの、装備がついてくるわけか。確かにこの二人に一体どんな装備を付けさせたのか非常に気になるな。
「はい、ここで装備がやってくるんですが、転双の拳、てんは転ぶと書きますがそうは双子のふたと書きます。これは私の考察になりますが、恐らく双方向に転送する、という意味で付けられたのだと思います。また、効果も実際そのようになっています」
双方向に転送する、だって? 確かにこれはニコイチの二人にしか使え無さそうな装備だ。
「この装備はそもそも、一対のガントレットの片方ずつを別個体に装着する必要があります。そして任意で装備者同士の位置を入れ替えたり、片方の元へ集まったりすることができるのです!」
ほぉー。そういう意味での転双、かー。確かに面白いし、毛色が違うというのもわかるな。でもそれはさっきのアシュラ君も同じじゃないか?
最初の三人は確かに防御が上がったり命増えたり、見えづらくなったり奇襲力上がったりと何かを付与されていた。
しかしアシュラくんと今回のスカルボーンくんに関しては何かが付与されたというよりは戦術の幅を増やすための装備、という感じだ。まあ、お互い攻撃力は武器を使うことによって多少は上昇するだろうがそこがメインではないからな。
まあ、そこまで追求はしないであげよう。私のお財布が心配だからな。
「この装備の面白いところは片方に剣、片方に盾を持たせたりすると分かりやすいと思います。役割分担をすることで敵が一体の場合はかなり翻弄することができるからです。盾の方には防がれるから剣の方に攻撃しようとしたら場所入れ替えられて攻撃は防がれるし、ガラ空きなところを攻撃されたりする、みたいな感じですかね? 盾の後ろに短剣なんかも忍ばせておいても楽しそうですし……」
貴方が一番楽しそうだぞ?
ま、まあ装備が面白いということは伝わった。しかし、まだあと一個残っているんだろう? 全く、ささっと終わらせてくれればいいものを……
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装備紹介がこんなにも長引くなんて……
話が書きやすいので思いつくがままに書き連ねていたらこうなりました笑
お許しくださいっ!
あ、そ、それとどうか♡で応援をしていただけないでしょうか……
それが本当に大きな力になるのです!
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