第271話 弱点保険


「せ、先輩……彼、もう本当になんなんですかね」


 お、彼女がどうやら壊れたようだな。うん、平常運転で何よりだ。それにしてもなんなんですか、とは珍しい壊れ方だな。


「マフィアの組長の息子さんを強化したことによって称号を獲得しちゃってますよ? カリスマ教官という称号で、NPCからの好感度が上がって、言霊というスキルも獲得できるようです!」


 ふむ、本当に彼は称号を獲得するのが得意であるよな。こんなにポンポンと取られてしまってはもう誰もがなんなんですか、となってしまうことだろう。


「あ! 先輩、彼、この組長から分取ったお金でどうやら従魔の装備を作っていたみたいですよ!? 従魔一人一人に装備を与えるとは、なんて良いご主人様なんでしょうか! でも、そのお金は真っ黒なんですがね」


 ん、真っ黒のお金を従魔の装備に変えた……? つまりはお金を綺麗にするマネーロンダリングか? 昨今は技術の発展により昔ほどはその言葉を聞かなくなったのだが、まさかここゲーム内で聞くことになろうとは……


 ということは彼は別に従魔の為を思ったのではなく、ただただマネーロンダリングしたかっただけなのか?


 いや、でもその従魔の装備は換金できるわけじゃないし、従魔専用だろうから売値もだいぶ低いだろう。ということはやはりただの良いご主人様、ってことなのだろうか? 彼の場合はどこか裏があるような気がしてしまうのは、私の気のせいなのか?


「ちょ、これ、この従魔たちの装備、めちゃくちゃ強いですよ!?」


「え?」


 こ、こういうのって強かったらダメなんじゃないか? いや別にダメだということはないだろうが、え、じゃあ従魔がもっと強くなってしまうってことか?


「ちょっと、一つずつ説明していきますね? まずはカメちゃんの装備からです。カメちゃんの装備は窮撃の鎧という名前で甲羅に装備するもののようです」


 きゅうげきの鎧? なかなかに強そうな名前ではないか。だが、今回も漢字が分からないな。


「この鎧の効果は装備者の体力が低くなればなるほど、防御力が上昇する、というものです! シンプルなだけにその強さが余計に伝わりますね。そもそも防御力が高そうなカメちゃんの体力を削れば削るほど体力が削りにくくなるという、これを考えた人は悪魔ですか? って感じですね!」


 た、確かに。だが見方を変えればとても良い装備を作った、ということでもあるだろう。亀の特性とも非常にあっているし、毒を使ってジリジリと、という戦法にも合っている。彼女は悪魔と評したが、普通に天才なのではなかろうか?


 あ、あと追い込まれれば追い込まれるほど反撃する、という意味の「窮撃」なんだろうな。漢字が分かってスッキリだ。


「では次はラヴァマンの為の装備ですね。この従魔はもともと体がマグマでできていて、体を自由自在に操れるので普通に強いのですが、この装備によってさらに強くなります」


 体を自由自在に動かせる、というのは大きな強みだからなー。周囲にマグマがあればどうかして大きなマグマ流を作り出すことも可能だろう。あるかどうかは置いといて、だが。


「彼の装備は宿命の指輪、です。これは文字通り指輪に命が宿っていて、装備者が死亡すると死亡時のままの姿で復活することができるという、はっきり言ってチート装備です」


「……」


 え、めっちゃ強いじゃん。


 ただでさえ不定形で体を自由に操れるモンスターが、それに加えてもう一つの命を手にしたのか? そんなもんチート以外の何者でもないだろう。


 しかも、これのタチが悪いところは、ラヴァマンという全身がマグマでできているが故に弱点がわかりやすいモンスターに対しての最高の対応策になっている、ということだ。


 マグマは冷やされると固まってしまうため、そこが弱点となりうるが、その状態で仮に絶命したとしてもその固まった状態からリスタートすることができるのだ。


 つまりは弱点を補填する形にになっているというわけだ。


 はぁ、いったい彼はどこまで強くなりどこを目指しているのだろうか?








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タイトルは、、たまたまです!笑


私は第四世代で止まっておりますから!笑


あのゲームが好きな方は♡をよろしくお願いしますっ!

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