第270話 病み上がり
「ふぁーおはよーう」
俺は夏のセミがわんわん鳴いている蒸し暑い朝の中、オフィスに出勤した。いやー、クーラー効いてて最高だな。
「あ、先輩! 昨日はどうしたんですか何かあったんですか?」
何かあったかと聞かれれば何もなかったのだが、何もなかったからこそ休んだとも言える。うーん、返答にとても困るな。
「ま、どうでもいいですね。そんなことより聞いてくださいよ! 先輩がいない間に彼、なんかものすごいことやっちゃってますよ?」
ど、どうでもいい、だと? ……まあ、他人の欠席理由なんて気になるのは小中学生までか。だけど、もう少し興味くらい持ってくれてもいいんじゃないか?
そして、ものすごいことってどうせ彼が何かやらかしたのだろうが、これに関しては全く検討がつかないな。毎度毎度、逆に何をそんなやらかすことがあるのだろうか?
「なんか、結構色々あったんですが、まずは先輩も知っていることからいきましょうか。拘束、というスキルを高速拘束に進化させた時に、獣人マフィアを拘束したの覚えてますか?」
「あ、あぁ」
そういえばあったな、そんなこと。
「彼はあろうことか、獣人たちを拘束するだけしておいて、スキルの強化が終わった後、完全に忘れてしまっていたのです。可哀想な話ですが、事件が起きたのはここからなんです! そのヤクザの組長さんがなんと、彼の強さに惚れてしまったのです!」
「な、何っ!?」
え、だって組長さん含めそのマフィアたちはずっと拘束されていたんだろう? その上で怒りじゃなくて強さへの憧れが生まれるのか!?
でも、まあそうか。もともとは怒りの感情でぶつかっていったら余裕で返り討ちにされた挙句、命は落とされず拘束までで済んだ、とも取れるからな。マフィアの世界はよく分からんな。
「これだけで終わったら良かったのですが、これにはまだ続きがあるのです」
ま、まだあるのか? もう病み上がりの体には充分すぎるほどの情報量だぞ?
「なんと、彼の強さに惚れた組長はなんと、自分の息子の特訓を彼にお願いしたのです、もちろん、多額の報酬付きで。獣人は強さが命ですから、その点あまりにも強すぎる彼を認めざるを得なかったのでしょうし、それなら活用してやろうという、見上げたヤクザ魂が発揮されたのでしょう!」
いや、でしょうじゃなくてさ……え、つまりはクエストとして行われたってことか?
「彼も快く引き受けるのですが、その特訓方法がなんとも鬼だったのです」
「お、鬼……??」
まあ確かに彼自身鬼みたいなものだが、特訓方法が鬼ってことがあるのか? ん、もしかして、いや、まさか……
私のその驚きの表情が顔に出ていたのか彼女に私の思っていることを当てられてしまった。
「はい、そのまさかなんです。彼が今まで行ってきた。死によって強くなるという方法をその息子さんにやらせたのです! もちろん、本当に殺してしまってはプレイヤーのようには復活しないので、死ぬ寸前に彼が回復させてあげてましたが」
「っ……!!」
私は言葉を失ってしまった。これじゃあ本当にただの鬼じゃないか、と。
それと、さっきは病み上がりと嘘をついたが、そんなこと関係なしに普通に情報過多なのだが?
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夏のこの時期に早起きすると、嫌でもラジオ体操を思い出しますねw
もはやDNAに刻まれているのでしょうか?笑
それにしても夏の朝は好きです。冬の朝も好きですがw
今日も♡をよろしくお願いします!!
、、最近少なくなっているので、どうかどうかよろしくお願いします……
目標♡数:30
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