第267話 彼女語録
拘束、この聞き馴染みのないスキルは少しばり特殊で、相手を拘束するというスキルではないのだ。拘束した相手を逃げられなくする、というスキルなのだ。
拘束を解除するには拘束した本人が解除するか、その拘束スキルよりも熟練度の高い何かしらの解除スキルを持った人でなければ不可能になる、そういうスキルなのだ。
そして今ここではっきりさせよう。このスキルは非常に地味である、と。
だって、相手を捕まえるんじゃなくて、捕まえた敵を逃がさないっていうスキルなんだぞ? ちょっとずれていないか? それに何か特殊な演出があるわけでもなく、ただただ相手が捕まっているだけなのだ。地味だろう?
そんな地味なスキルをなぜ彼が強化しようとしているのか、その真意は全くわからない。
「ん、ところで拘束を強化させる為の条件は何なんだ? 今までのように難しい条件を出すのが難しいように思えるのだが……」
「と、思うじゃないですか。私もそう思っていたのですが、意外も意外、結構鬼畜な条件だったんですよ。条件は三つだけで、今までよりも一つ少ないのですが、その内の一つに、十秒以内に十人を拘束する、というものがあるんですよ!」
「な、十人!?」
つまり、獣人を十人ってことなのか??
……ゴホン。一瞬、条件が三つだけというのは簡単なのではないかと思ったのだが、十秒以内に十人というのは結構、いやただの無理ゲーではないのか? 近くに人が十人もいない可能性だって全然あるわけだし、そもそもクリアできるのか?
って、もう十秒以上立っているじゃないか。
「それに関して彼はクリアできたのか?」
「はい、何故か彼は獣人のヤクザに喧嘩を売ってたので、それの買い戻しがきたタイミングで速攻で十人以上拘束しちゃってましたね」
か、買い戻し? 喧嘩売った後にもう一度やってくることを買い戻しっていうのか? 今初めて知ったんだが? ってか、十人以上ってさすがだな、おい。
「ん、そういえば十秒以内に十人拘束する、以外にはどんな条件があるんだ?」
「はい、二十四時間以内に百人を拘束する。誰かを二十四時間拘束する、ってやつですね。同じ二十四時間でも全然雰囲気が変わるもんですねー」
いや変わるもんですねーじゃなくて、鬼畜すぎないか!? 相手が。
だって、百人以上拘束させられてその内の一人は二十四時間拘束されっぱなしってことだろう? たとえNPCだとしても結構可哀想なんだがが……
「あ、でも彼が買い戻しの買い戻しをした時に、もう百人捕まえていましたよ? それにどうやらその百人ともずっと拘束し続けるみたいで、もうこの条件もさっさと終わっちゃいそうですね!」
え、え?
まず、買い戻しの買い戻しってなんだ? だって自分が売りつけたんだろ? それを買い戻すって……まあ、意味は何となくわかるが、喧嘩売って買われたけどさらに喧嘩したってこと、だろう。あっているかは定かではないが。
って、その影に隠れて彼がえげつないことしているんだが? 自分で喧嘩売っておいて、その敵を全員拘束して尚且つ全員二十四時間拘束するって……
結構悪魔だな。
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汗がすごいです。今からシャワーを浴びたいと思います。
早く夏終わらないですかねー()
早く終わらせたいと思う方は♡を連打!!!!!
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