第264話 敗北の意味
「それにしてもこの獣人は何故これ程までに彼に戦いを挑むんですかね? 勝てないということは百も承知でしょうに」
「彼にも獣人としての自信や誇りがあるのではないか? 種族的に戦闘に重きを置いているのならば尚更だろう」
「そういうもんなんですかねー? でも、それと同時に負けることも許さなそうな雰囲気ですけど、この人はゴリゴリ負けてますよ?」
女性の口からゴリゴリという言葉を聞いたのは初めてかもしれない。この女性が特殊なのか、それとも私の知ってる女性が少なすぎることが問題なのだろうか?
「それは彼が負けることに抵抗が無いからなのではないか? 負けることへの抵抗感よりも強さに固執しているということだろう。成長する、という観点から見れば負けることを極度に恐れて何も行動しないよりかはよっぽどいいことだと思おうがな」
「まあそうですね。それにしても負けすぎだとは思うんですが」
それも、そうだな。負けることでもあるとは思うが、もう流石にカンストしていそうだ。
「あ、あれ? 彼が大勢の獣人に囲まれてしまいましたよ? 確か隠遁を発動していたはずなのになんででしょう?」
む、確かにそうだな。隠遁は完全に姿を隠すから、見つけることはできないと思うのだが……
「はっ、もしかして匂いか? 匂いでバレてしまったのではないか?」
「いや、それはないですね、隠遁は匂いまで完全に消し去る結構チートなスキルなんです。ですので匂いなんかじゃバレませんよ」
「そ、そうか……」
では何故バレてしまったのだ? 隠遁をしている限り安全なのではないのか? 彼も見つかった時は少し驚いているようだったから、彼すらも気づけなかった方法で見つかったということだ。いったいなんなんだそれは?
「あ、もしかして足跡、じゃないですか? 彼は装備をしていますから絶対に人間特有の足跡が発生してしまします。しかし、獣人たちは皆、素足で行動していますから、足跡を辿れば一発で見つかったんでしょう!」
なるほど、足跡か。確かにそれは気付かないし、バレるだろうな。自分たち人間からしてみればそんなとこに意識は向かないが、獣人からしたら、違和感しかないのだからな。
ん、ということはそこに気づいた彼女自身も獣人ということか……?
うん、もちろん冗談だ勘弁してほしい。
「あ、これはどうやら正面衝突の雰囲気ですね。彼が悪役ムーブに回っていますよ。まるで小さな子供をあしらうお父さんみたいですね」
お父さんって……まあ確かに、節分の鬼とかは悪役ムーブしているとも言えるか。他にも子供達が憧れるヒーローの敵役になってくれたりするのだろうな。
というか、もうすでにそのような雰囲気が出ているということは、彼自身妻子持ちなのか……?
これは真偽が分からないが、恐らくないだろうな。妻子持ちがこれだけゲームしていたらこちら側が不安になるぞ?
ボンッ!
「え?」
「あ、どうやら彼が爆虐魔法、一発で全員をしばいちゃったみたいですね!」
女性がしばくとか使っちゃダメだと思うぞ??
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今日は道に迷ってとても疲れちゃいました。
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